自動車保険と自動車共済の違いは?補償内容とメリット・デメリット
自動車の運転中に交通事故を起こしてしまうと、多額の賠償金を請求される恐れがあります。そのため、自動車を購入した人は自動車保険や自動車共済に加入し、万が一の事態に備えることが大切です。
この記事では、自動車保険と自動車共済の基礎知識を知りたい人に向けて、それぞれのメリット・デメリット・違いについて解説します。「自動車保険と自動車共済の違いを知りたい」「そもそも、自動車共済とは何かが分からない」という人は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 自動車保険・自動車共済とは?
自動車を購入した人は、自賠責保険に加入しなくてはなりません。自賠責保険への加入は法律で定められている義務であるため、免れることは不可能です。しかし、万が一の事故を起こしてしまったときには、自賠責保険でカバーできない金額の賠償金が発生するケースがあります。その賠償金に対する備えとして加入するものが、自動車保険や自動車共済です。
〇自動車保険とは
一般的にいう「自動車保険」とは、任意加入の自動車保険のことを指します。自動車保険は保険会社の提供する商品で、複数の補償内容の中から自分自身に必要なものを選択し、契約するシステムです。
自動車保険の契約者は月払いもしくは年払い(一括払い)で、保険料を支払います。その代わりに契約者が自動車事故を起こしたときには、契約した内容の補償を受けることが可能です。
なお、上で触れた「自賠責保険」は厳密にいうと、「強制加入の自動車保険」にあたります。ここから先は「任意で加入する自動車保険」のことを「自動車保険」と表記するため、留意してください。
〇自動車共済とは
自動車共済とは、農業協同組合・生活協同組合・事業協同組合などが扱う自動車事故への備えのことです。自動車共済に加入すると、決められた金額の「掛け金(自動車保険でいうところの保険料)」を支払わなくてはなりません。
その代わり、自動車共済に加入する人が自動車事故を起こしたときには、各共済組合から共済金(自動車保険でいうところの保険金)を受け取れます。
2. 自動車保険と自動車共済の主な違い
自動車保険と自動車共済はいずれも強制ではなく、任意で契約・加入するものです。しかし、自動車保険と自動車共済は、目的・補償内容・等級制度などに違いがあります。自動車保険と自動車共済の主な違いを正しく理解して、それぞれの特徴を掴んでください。
2-1. 目的
自動車共済の目的は「組合員同士の助け合い」であるため、多くの場合は共済の組合員のみが加入できます。ただし、大規模な共済は実質的に、どのような人の加入も可能です。
一方の自動車保険は、保険会社の営利目的で設計された商品にあたります。そのため保険会社の定める条件を満たす人が保険料を支払えば、自由に加入が可能です。
2-2. 補償内容
自動車保険と自動車共済の補償内容はいずれも、運営する保険会社・共済によって異なります。しかし、一般的な傾向として自動車共済はさまざまな補償をパッケージ化したものが多く、プランの選択肢が限定的です。自動車保険は柔軟な選択が認められる商品も多く、自分自身の必要な補償を組み合わせ、加入することができます。
自動車保険の補償内容の具体例は、下記表の通りです。
事故相手に対する補償 | ● 対人賠償保険 |
● 対物賠償保険 | |
事故を起こした自分自身への補償 | ● 人身傷害補償保険 |
● 搭乗者傷害保険 | |
● 自損事故保険 | |
● 無保険車傷害保険 | |
自動車の補償 | ● 車両保険 |
また、多くの自動車保険では、法律相談・弁護士費用を補償してくれる「弁護士費用特約」など、さまざまな特約をつけられます。自動車保険ではいずれの補償・特約の含まれるプランを選択するかによって保険料が変化することが多く、費用対効果をふまえた上での判断が必要です。
なお、自動車共済の中には自動車保険に匹敵するほど充実した補償が提供されるものも多くあります。そのため、「自動車共済は自動車保険ほど充実した補償を受けられない」というわけではありません。
2-3. 等級制度
等級制度とは、自動車共済や自動車保険に加入・契約する人の事故歴に応じて、保険料や掛け金を変化させる仕組みです。自動車共済や自動車保険の等級は、更新手続きを行う際に変更されることがあります。たとえば、「加入・契約してから更新手続きを行うまでに1回も事故を起こさないと、等級が上がる」などという具合です。
自動車保険の等級制度は一般的に、1等級から20等級までの20段階で決定されます。自動車共済の等級制度は、1等級から23等級までの23段階で決定されるルールです。
3. 自動車保険・自動車共済それぞれのメリット・デメリット
自動車保険・自動車共済のいずれにも、他方と比較したときのメリット・デメリットがあります。「どちらがよいか」で迷う場合は、正しい知識をふまえた上で、自分自身に合う方を選択しましょう。
ここからは、自動車保険・自動車共済それぞれのメリット・デメリットを解説します。
3-1. 自動車保険のメリット・デメリット
自動車保険における最大のメリットは、さまざまなプラン・特約を組み合わせが認められるという点です。さらに、自動車保険は「損害保険契約者保護機構」というセーフティネットがあるため、保険会社が破綻した場合も契約を継続できます。
ただし、自動車保険は保険会社が営利目的で運営する商品であるため、自動車共済の掛け金と比較し、保険料が割高です。毎月の保険料の差はわずかであっても、自動車を保有する期間全体で考えると、家計を圧迫するリスクがあります。
また、自動車保険に加入していると、他の保険の勧誘を受けるケースがあることもデメリットです。「他の保険に加入する予定はない」という人は、勧誘を煩わしく感じるリスクがあります。
3-2. 自動車共済のメリット・デメリット
自動車共済の最大のメリットは、自動車保険の保険料と比較し、掛け金が割安であることです。さらに、自動車共済は非営利で運営される制度であるため、儲けが出た場合には、割戻金を受け取れることがあります。
ただし、自動車共済には、下記のようなデメリットがあることにも注意が必要です。
● セーフティネットがない ● 等級を引き継げない可能性がある |
自動車共済から自動車保険への乗り換えで等級を引き継げるかは、保険会社によって異なります。切り替えを検討する場合は保険会社や代理店に相談し、詳細を確認しましょう。自動車共済から他の自動車共済へ乗り換えする場合も同様です。等級を引き継げないと、掛け金が上がってしまうことがあります。
4. 自動車共済に加入するためにはどうすればよい?
自動車共済では、まだ自動車保険に加入していない人の新規契約はもちろん、自動車保険からの乗り換えも受け入れています。加入したい自動車共済に問い合わせ、所定の方法に従って、手続きを進めてください。
一般的な自動車共済の加入手続きは、下記のように進めます。
【1】共済の組合員・准組合員になる 【2】補償内容や見積もりをもとに、加入契約を決定する 【3】必要書類を記入して、契約する 【4】初回の掛金を支払う 【5】自動車共済証書の発行を受ける |
自動車共済証書とは、自動車保険に加入したときに発行される「保険証券」にあたるものです。自動車共済証書は共済金を請求したり契約内容を変更したりする際に提出を求められるケースがあるため、大切に保管しましょう。
共済の組合員・准組合員になるためには、共済の規定する出資金の支払いが必要です。出資金の金額は共済によって異なるため、最初に問い合わせする際に確認することをおすすめします。
まとめ
自動車保険と自動車共済は、運営目的が異なります。自動車共済は組合員同士の助け合いを目的として運営されるため、掛け金が割安で、儲けが出た場合には割戻金を受け取ることも可能です。
ただし、自動車保険と自動車共済は、等級制度が異なります。自動車保険から自動車共済への乗り換え・自動車共済から自動車保険への乗り換えを行う際には等級を引き継げないケースがあるため、注意しましょう。
自動車保険と自動車共済にはさまざまな違いがあるとはいえ、契約者や加入者を守るためのものであることは同様です。自分自身に合うものを選択し、万が一の事態に備えましょう。
生活クラブ共済連での取扱い自動車保険はこちらをごらんください