2023/3/17(最終更新日)

「5類感染症」とは?種類や主な措置・コロナ5類移行に伴う課題も

2023年1月、政府は2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の法的な位置づけを「2類相当」から「5類」へ移行する方針を示しました。5類に分類される感染症には「季節性インフルエンザ」などがありますが、そもそも5類感染症とはどのような感染症のことを指すのでしょうか。

この記事では、5類感染症の概要や分類における考え方をふまえた上で、5類感染症の種類や流行状況の把握方法、5類感染症に罹患した際の主な措置・対応について解説します。新型コロナウイルス感染症の5類移行にともなう課題も併せて確認し、5月8日以降の暮らしに役立てましょう。

目次

1. 5類感染症とは?

2. 5類感染症の種類

2-1. 5類感染症における2種類の対象把握

3. 5類感染症の主な措置・対応

4. 新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う課題とは

まとめ

1. 5類感染症とは?

5類感染症とは、「感染症法」で定める感染症の5類型の1つであり、感染力や重症化率、重篤性などを総合的に考えた際に最も危険性が低いグループを指します。感染症の種類に応じて発生動向調査を行い、国民や医療従事者に対して必要な情報を提供することにより、発生やまん延を防ぐべき感染症が該当します。

新型コロナウイルス感染症は、2023年3月時点において「新型インフルエンザ等対策特別措置法(措置法)」に該当する「新型インフルエンザ等感染症」に分類されています。この特措法に基づいて「緊急事態宣言の発出」や「行動制限の発動」が行われ、新型コロナウイルス感染症は2類と同等の「2類相当」として扱われてきました。

しかし、現在ではウイルスの変異により致死率や重症化率が低下し、ワクチンや経口薬の開発により治療法や予防法も確立しつつあります。このことから、5類に分類される「季節性インフルエンザ」と同等の扱いが可能であると判断され、新型コロナウイルス感染症の5類への移行が決定しました。

2. 5類感染症の種類

感染症法の対象となる感染症のうち、5類に分類される感染症は下記のとおりです。

■5類感染症の種類

5類感染症は1~4類に分類される感染症よりも危険性が低いとはいえ、普通の風邪と比べると症状が重いケースが多く見られます。早期に対処すれば重症化が防げるものも多いため、思い当たる症状が見られた場合は医療機関を受診することをおすすめします。

2-1. 5類感染症における2種類の対象把握

感染症法では、特定の種類の感染症について発生数や流行状況を把握するための「発生動向調査」を行うことが定められています。発生動向調査における対象把握の方法には「全数把握」と「定点把握」の2種類があります。

■全数把握と定点把握の違い

5類感染症における「全数把握対象感染症」と「定点把握対象感染症」には、下記のものがあります。

■全数把握対象感染症(5類)

■定点把握対象感染症(5類)

なお、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日に5類感染症へと移行された後は、「定点把握」となることを押さえておきましょう。

3. 5類感染症の主な措置・対応

5類感染症に罹患した場合、感染症の種類にもよりますが主に下記のような措置・対応がとられます。2023年3月時点での新型コロナウイルス感染症における措置・対応と併せて確認しましょう。

■5類感染症に罹患した場合の措置・対応

新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した場合、基本的には季節性インフルエンザと同様の運用方法となると考えられます。罹患した際の制限が大幅に緩和される一方で、医療費や検査費など診断や治療にかかる費用が自己負担になることに留意してください。

ただし、5類移行後も入院費や高額治療薬の費用、ワクチンの接種費用などは公費による支援が継続される予定です。5類移行後の運用方法は流行状況などによって変更になることも考えられるため、厚生労働省や自治体などが発信する情報を適宜確認するようにしましょう。

4. 新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う課題とは

新型コロナウイルス感染症が5類に移行されると、一般医療機関で対応しやすくなるため、指定医療機関など一部の医療従事者に集中していた負担を分散させられます。また、行動制限が大幅に緩和されるため、職場・学校での生活や地域の行事などをコロナ禍前の日常に戻すこともできるでしょう。

5類移行にはメリットもある一方で、治療費が自己負担になることで感染者が検査・治療を受けなくなる可能性や、重症化する患者を把握できなくなる可能性も懸念されています。今後、ワクチンの接種費用が自己負担になれば、接種率の低下も考えられるでしょう。

新型コロナウイルス感染症の致死率・重症化率は低下傾向にあるものの、完全に収束したというわけではありません。体調の悪い方や基礎疾患のある方、高齢の方、感染に不安を感じる方は、引き続き個人での感染対策が必要となるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日より季節性インフルエンザなどの感染症と同じ類型となる「5類」へと分類が変更されます。5類移行には「行動制限が大幅に緩和される」「医療従事者の負担が分散できる」などのメリットがあります。一方で、「治療費や検査費は自己負担」などのデメリットもあることにも注意しましょう。

新型コロナウイルス感染症は5類へと移行されますが、ウイルス自体が無毒化・消失したわけではありません。感染リスクが高い方や感染が不安な方は、5類移行後も基本的な感染対策を続ける必要があるでしょう。

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