現代は、小学生を超えるほぼすべての子どもが自分自身のスマホや自宅のパソコンからインターネットを利用し、Webサービスやアプリを活用する時代です。
(出典:内閣府「令和4年度青少年のインターネット利用環境実態調査(PDF版)」)
インターネットの脅威から子どもを守るためには、最新ツールに関する知識を親が持ち、正しい利用を促すことが必要でしょう。
当記事では最新ツールの中でも注目度が高い「ChatGPT」の子どもに対する影響を紹介します。ChatGPTに関する基礎知識を習得し、安全に利用させる方法を考えたい人はぜひ参考にしてください。
目次
2-3. 人工知能(AI)のしくみやアルゴリズムに興味をもてる
1. そもそも「ChatGPT」とは?
ChatGPTとは、人間のように自然な会話を行える、最新の対話型AIです。AIとは多くの場合、人間の知能と同様のプロセスでルールを学習したり、回答を導いたりするプログラムを意味します。
(出典:総務省「人工知能(AI:エーアイ)のしくみ」/https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/economy/economy_06.html)
ChatGPTは2022年に登場してまもなく革新的なサービスとして注目を集め、公開から数か月でユーザー数1億人を突破しました。
1-1. ChatGPTでできること
ChatGPTはインターネット上にある過去の情報を学習し、さまざまな事柄を行ってくれます。以下は、ChatGPTでできることの一例です。
●自然な会話 文章を入力してChatGPTに話し掛けると、人間が対応しているかのように自然な会話を楽しむことが可能です。例えば、人間関係や職場の悩みをChatGPTに相談すると自然な言葉で、考えられる解決策を教えてくれます。 ●表作成 ChatGPTは文章形式で羅列されたデータを整理して、表を作成することも可能です。さらに、ChatGPTには、「作成した表のデータから平均値を計算する」などの集計作業も依頼できます。 ●翻訳 ChatGPTは現状でも100以上の言語に対応しており、精度の高い翻訳を行ってくれます。例えば、日本語の文章を入力して英語やフランス語への翻訳を依頼すると、自然な訳文が表示されます。 ●文章の校正 作成した文章をChatGPTに入力して校正を依頼すると、文法の誤りや誤字脱字などを確認して、修正案を教えてくれます。 ●文章の要約 ChatGPTに長文を入力して要約を依頼すれば要点のみを抽出し、数100文字程度の文章にまとめてくれます。情報収集したいものの長文を読む時間がない時にChatGPTに要約を依頼すれば、効率的な作業が可能です。 ●プログラムの自動生成 希望するプログラミング言語と必要な機能を指定してプログラミングを依頼すると、自動でコードが作成されます。また、ChatGPTに自分自身が作成したコードを入力し、エラーチェックを依頼すると、問題箇所の指摘や修正案の提案を受けることが可能です。 ●アイデア出し ChatGPTは事前学習した膨大なデータをもとに、アイデア出しも行ってくれます。例えば新商品のアイデアが思い浮かばない時、ChatGPTに相談すると、良いヒントをもらえるでしょう。 |
2. 子どものChatGPT利用における「良い点」3つ
ChatGPTが登場して間もない時期には教育現場で、利用を禁止する動きもありました。しかし、直近では、教育をより良いものにしてくれる存在としてChatGPTに注目する教師も少なからずいる状態です。
ここからは、子どもがChatGPTを利用する主なメリットを紹介します。
2-1. スムーズな情報収集が行える
ChatGPTはインターネット上に公開された膨大なデータを学習しており、質問に対する回答を瞬時に生成してくれます。つまり、子どもが知りたいことをChatGPTに質問すれば瞬時に、ピンポイントの回答を受けることが可能です。
検索エンジンを利用する方法で情報収集する場合、さまざまなページを閲覧する中で不正サイトへ誘導され、個人情報の漏洩などの被害を受けるリスクがあります。ChatGPTのみで情報収集を行えば、そのリスクの回避が可能です。
2-2. 学校での勉強の「手助け」を受けられる
ChatGPTを利用すると、学校での勉強の手助けも受けられます。例えば、国語や英語では作成した文章の添削を受けるため、ChatGPTの利用が可能です。ChatGPTに算数の例題を生成してもらえば子ども自身が理解するまで何度でも演習し、一斉授業のフォローアップを行えるでしょう。
問題への解答そのものを教えてもらうわけではなく、勉強を手助けするツールとして活用できる点は、ChatGPTならではの魅力です。ChatGPTを有効に利用すれば、子ども自身は文章を考える作業に集中し、効率的に学習を進められます。
2-3. 人工知能(AI)のしくみやアルゴリズムに興味をもてる
ChatGPTに触れること自体が子どもにとって、AIの仕組みやアルゴリズムへの興味を育てるための良い機会です。ChatGPTの利用法を考える中で子どもは、新技術に触れた際の対応方法を学べます。
現在の子どもが大人になる頃にはよりChatGPTが普及し、ビジネス利用に避けられない時代が来る可能性も否めません。時代が変化した時にChatGPTを使いこなすスキルがなければ、職種の選択肢が狭まる可能性もあるでしょう。
もちろん、「今後どの程度、AIのビジネス利用が進むか」は、不確定な要素です。しかし、不確定な未来に備える意味でも子どものうちからChatGPTに触れて、使いこなせる人材への成長を促すメリットは大きいでしょう。
3. 子どものChatGPT利用における「注意点」3つ
子どものChatGPT利用には注意点がいくつかあり、教育現場への導入や安易に使用させることに対して、慎重な見解を示す専門家もいることは事実です。
以下では、ChatGPTを子どもに利用させる親が知っておきたいデメリットや注意点について紹介します。
3-1. すべての情報が正しいとは限らない
ChatGPTが質問に対応する際には学習した大量のデータを参考にして「最適」と考えられる情報や単語を選択し、表示する回答を導きます。インターネット上には誤った情報が公開されることもあるため、ChatGPTの回答が100%正しいとは限りません。子どもがChatGPTを過信して勉強すると、誤った情報を記憶するリスクがあります。
また、ChatGPTは最新の話題や地域性の高い話題への対応が苦手です。苦手分野に関する質問を行うと、誤った情報が提供されるリスクは高まります。
3-2. 子どもの思考力が奪われる可能性がある
子どもがChatGPTの利用法を覚えると、「宿題の解答を聞く」などの方法で悪用する可能性があります。その結果、自分自身で考えて問題を解く機会が減少すれば、思考力の低下を免れられません。
もちろん、ChatGPTを正しく利用すれば子ども自身は「考える」工程に集中でき、思考力をかえって伸ばせる可能性もあります。ただし、すべての子どもが大人の意図通りにChatGPTを利用するとは限らないため、注意しましょう。
3-3. 個人情報が流出する可能性も0ではない
ChatGPTはインターネット上に公開された情報のほか、利用者が入力した文章も学習し、AIの改善に役立てます。不用意にメールアドレス、氏名などの個人情報を入力するとChatGPTに学習されて、第三者へと開示されるリスクがあります。
ChatGPTには個人情報の開示を拒否する仕組みが採用されているものの、完璧とは言えません。悪意のある人が仕組みの抜け穴を付いた質問を行えば、個人情報を容易に取得されてしまう可能性もあります。
4. ChatGPTと子どもとの付き合わせ方
ChatGPTは子どもに対して良い効果を与える可能性がある一方、利用法を誤ると、悪影響にもなり得ます。子どもに利用させる際には事前に、ChatGPTは完璧なツールではないことを伝えましょう。そして、以下のようなルールを決めて、正しい利用を促すことが大切です。
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子どもの安全を守るためには定期的に親がChatGPTにログインして、利用状況をチェックする方法もあります。チェックによって問題が発覚した場合は子どもと再度話し合い、ルールの徹底を図りましょう。
まとめ
ChatGPTとは、世界的に注目されている最新の対話型AIです。子どもがChatGPTを正しく利用すれば、学校での勉強の手助けを受けられます。また、ChatGPTを利用すると質問に対してピンポイントの回答を受けられ、情報収集に掛ける時間の短縮も可能です。
ただし、ChatGPTの利用法を誤れば子どもにとってのデメリットにもなり得ます。子どもにChatGPTを利用させる場合には注意点を事前によく説明し、正しく使用できるようにサポートしましょう。