2023/8/22(最終更新日)

電動キックボードにおける自賠責保険加入の必要性は?任意保険も解説

電動キックボードは操作が簡単で維持費が安いことから、通勤や外出時の移動手段として利用する方が増えています。一方で、接触事故や整備不良などの問題も多発しているため、利用には正しい知識が必要です。

電動キックボードに乗りたいと考えている方は、安全に利用するためにも保険の仕組みや補償内容について正しく理解しておきましょう。

今回は、電動キックボードの自賠責保険の補償内容や保険料について解説します。電動キックボードに関連する交通事故の発生状況にも触れるため、ぜひ参考にしてください。

目次

1.そもそも電動キックボードとは?

2.電動キックボードには自賠責保険の加入が必須!

2-1.自賠責保険による補償内容

2-2.自賠責保険の保険料

2-3.自賠責保険の加入方法

3.電動キックボードに関連する交通事故の発生状況

4.万一に備えるには「任意保険」の加入もおすすめ!

まとめ

1.そもそも電動キックボードとは?

 


電動キックボードとは、低速走行できる電動スクーターです。車道または自転車道の走行が可能で、歩道の走行は禁止されています。自動車やバイクと同様に、飲酒運転も禁止です。

電動キックボードは、2023年7月1日から「特定小型原動機付自転車」「一般原動機付自転車」の2種類に分けられるようになりました。

それぞれの車体の主な規定や最高速度などの違いは、下記の通りです。

 

特定小型原動機付自転車

一般原動機付自転車

車体の主な規定

(1)長さ190cm以下、幅60cm以下

(2)走行中の最高速度の設定変更不可

(3

)最高速度表示灯を装備


最高速度

20km

30km

免許の有無

不要

必要

ヘルメットの有無

努力義務

必要


特定小型原動機付自転車の規定に該当しないものは、一般原動機付自転車とみなされます。

一般原動機付自転車は、原付バイクと同様に運転免許が必須です。ヘルメットの着用も義務であるため、着用せずに運転すれば交通違反となります。

特定小型原動機付自転車のヘルメット着用は義務ではないものの、事故による被害を軽減するためにヘルメット着用に努めなければなりません。

2.電動キックボードには自賠責保険の加入が必須!


自賠責保険はすべての車両への加入が義務付けられています。
道路交通法上では電動キックボードは原動機付自転車(原付)として扱われるため、自賠責保険の対象です。

自賠責保険とは、交通事故に遭った被害者への損害補償の補填や日常生活において必要な介護料の支援などに備えるための保険です。

自動車や原付バイクの場合、自賠責保険の証明書を紙で携行することが義務付けられています。しかし、電動キックボードには収納スペースがなく紙での携行が困難であるとして、国土交通省は自賠責保険の証明書の電子化を解禁しました。

電動キックボードを利用する場合は、スマホから自賠責保険のデジタル証明書をいつでも見られる状態にしておかなければなりません。

ここからは、自賠責保険の補償内容と保険料、加入方法について詳しく解説します。

2-1.自賠責保険による補償内容

自賠責保険による補償内容の詳細は、以下の通りです。

  • 死亡による損害

交通事故により被害者が亡くなった場合、逸失利益・慰謝料・葬儀費が支払われます。項目別の支払基準は、下記の通りです。

補償内容

支払基準

逸失利益

収入・就労可能期間・被扶養者の有無などを考慮して算出

慰謝料

被害者本人:400万円

被害者遺族:550万円~

葬儀費

100万円


死亡による損害の補償限度額は、被害者1名につき3,000万円です。

  • 後遺障害による損害

交通事故により精神的・肉体的に後遺障害が残った場合、逸失利益と慰謝料が支払われます。項目別の支払基準は、下記の通りです。

補償内容

支払基準

逸失利益

収入・障害の各等級に応じた労働能力喪失率に基づき喪失期間などによって算出

慰謝料

障害の内容と各等級により決定


神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい後遺障害があり介護が必要な場合は、被害者1名につき補償限度額が3,000万~4,000万円となります。その他の後遺障害の場合の補償限度額は、75万~3,000万円です。それぞれ後遺障害等級により金額が決定されます。

  • 傷害による損害

交通事故により入院や通院などが必要になった場合、治療関係費・文書料・慰謝料などが支払われます。項目別の支払基準は、下記の通りです。

主な補償内容

支払基準

治療費

必要かつ妥当な実費

通院交通費

文書料

慰謝料

1日4,300円

休業損害

原則1日6,100円


傷害による損害の補償限度額は、被害者1名につき120万円です。

(出典:国土交通省 自動車総合安全情報「自賠責保険について-限度額と補償内容」/https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/jibai/payment.html

(出典:国土交通省「自賠責に入らないと、電動キックボードには乗れません。」/https://www.mlit.go.jp/jidosha/e-scooter/index.html

2-2.自賠責保険の保険料

自賠責保険は、車両の種類によって保険料が決められています。保険料は国が定めているため、加入する保険会社や代理店に関係なく一律料金です。

2024年3月末日までの電動キックボードの自賠責保険の保険料は、下記の通りです。

保険期間

1年

2年

3年

4年

5年

保険料

6,910円

8,560円

10,170円

11,760円

13,310円


(出典:損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率表 2023年1月18日届出」/
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202301_table.pdf

自賠責保険は、契約期間が長いほど保険料が安くなります。保険料をできるだけ安く抑えたい場合は、5年契約がお得です。自賠責保険を解約すると還付金が戻ってくるため、忘れずに還付手続きをしましょう。

また、2024年4月以降は、特定小型原動機付自転車のための新しい保険料が適用される予定です。2024年4月以降の電動キックボードの自賠責保険の保険料は正式に決定していないため、定期的に「自賠責保険基準料率表」をチェックしましょう。

2-3.自賠責保険の加入方法

電動キックボードの自賠責保険は、下記の場所で加入できます。

  • 販売店
  • 損害保険会社または代理店
  • コンビニ
  • 郵便局
  • オンライン


自賠責保険の一般的な加入タイミングは、「電動キックボードを購入したとき」です。
加入する保険会社が決まったら、詳しい手続きの方法を確認しましょう。

自賠責保険の加入には、標識交付証明書など車両の情報がわかるものと保険料が必要です。基本的には現金払いのため、保険期間に合わせて必要な金額を用意しておきましょう。

自賠責保険に加入すると、満期年と満期日が記載されたステッカーが発行されます。ステッカーには、自賠責保険に加入していることを証明する役割があるため、必ずナンバープレートに貼り付けておかなければなりません。

3.電動キックボードに関連する交通事故の発生状況

電動キックボードは手軽な移動手段として注目されている一方で、電動キックボード関連の交通事故の多発が懸念されています。

令和2年~4年における電動キックボードの交通事故件数と死者数、負傷者数は下記の通りです。

 

事故件数

死者数

負傷者数

令和2年

4件

0名

5名

令和3年

29件

0名

30名

令和4年

41件

1名

41名


(出典:警察庁「電動キックボードに関連する交通違反・事故の発生状況」/
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/newmobility0503.pdf

電動キックボードに関連する交通事故は、年々増加傾向にあります。令和4年度においては、1名の死者が発生する事故も報告されました。

また、交通事故に至らなかったものの、通行区分の誤りや信号無視・一時不停止などの交通違反で検挙されている方も数多くいます。

今後さらに身近な乗り物になることを考えると、交通事故件数が増加する可能性は高いと言えるでしょう。

4.万一に備えるには「任意保険」の加入もおすすめ!


自賠責保険に加入することで、交通事故で被害者にケガを負わせた場合に補償ができます。

ただし、対人賠償に限られるため、壊してしまった被害者の車やバイクなどの補償は対象外です。自分の車やバイクが壊れた場合や自分がケガをした場合も補償されません。また、自賠責保険は補償上限額が低く設定されているため、補償額が不足する可能性があります。

万一に備えるには、任意保険の加入もおすすめです。任意保険は、「対人賠償無制限」「対物賠償」「搭乗者傷害」など補償が充実しています。任意保険の加入は義務ではないものの、自賠責保険で不足しがちな補償をしっかりカバーできるのがメリットです。

すでに自動車保険や自動車共済に加入している方や、今後加入しようと考えている方は、ファミリー特約の付帯も検討してみましょう。ファミリー特約を利用すると、新たに保険に加入しなくても補償を受けることができます。

まとめ

電動キックボードは、2023年7月1日から「特定小型原動機付自転車」「一般原動機付自転車」の2つに分類されています。電動キックボードは道路交通法上では原動機付自転車として扱われるため、自賠責保険の加入が必須です。

自賠責保険は交通事故で被害者にケガを負わせてしまった場合に役立ちます。ただし、補償上限額が低く設定されているため、任意保険にも加入して万一に備えることがおすすめです。

 

カテゴリーアーカイブ

資料請求 ネット申し込み

ページトップへ