2024/1/5(最終更新日)

【2023年】季節外れのプール熱が流行中!原因と症状・予防法も

2023年は季節外れのプール熱が流行しています。プール熱は子どもが感染しやすい病気であり、自分の子どもが感染しないか心配な保護者の方は多いのではないでしょうか。

プール熱は本来「咽頭結膜熱」と呼ばれる感染症で、原因となるウイルスや主な感染経路も分かっています。プール熱を詳しく知ることで、感染時の対処や予防を行えるでしょう。

今回は、季節外れのプール熱が流行している原因から、プール熱の症状や感染した場合の対処法、予防法までを解説します。

目次

1.【2023年】季節外れのプール熱が警報レベルで流行

1-1.「季節外れのプール熱多発」に考えられる原因

2.そもそもプール熱(咽頭結膜熱)とは?

2-1.感染経路

2-2.潜伏期間と主な症状

2-3.罹患しやすい年齢

3.プール熱の治療法・対処法

4.プール熱の感染を防ぐためにできる予防法

まとめ

1.【2023年】季節外れのプール熱が警報レベルで流行

2023年8月以降、日本では季節外れのプール熱が増えています。特に、11月は全国において警報レベルで流行していました。

国立感染症研究所の公表によると、2023年第47週(11月20日~26日)におけるプール熱(咽頭結膜熱)の報告数は1万1,139件です。対して、前年の同時期にあたる2022年第47週(11月21日~27日)におけるプール熱の報告数は300件でした。

(出典:国立感染症研究所「2023年第47週(第47号)」/https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/idwr/IDWR2023/idwr2023-47.pdf

(出典:国立感染症研究所「2022年第47週(第47号)」/https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/idwr/IDWR2023/idwr2023-47.pdf

2022年の同時期と比較して、2023年11月はプール熱の報告数が30倍以上も増えていることが分かります。

プール熱は、名前に「プール」という言葉が使われるように、従来は夏の時期に流行が見られる感染症でした。

しかし2023年は夏よりも、秋から冬にかけてプール熱の流行が加速していて、季節外れの流行が起きています。

1-1.「季節外れのプール熱多発」に考えられる原因

2023年に季節外れのプール熱が多発している背景には、3つの原因が考えられます。

●コロナ禍の外出自粛などによる基礎免疫力の低下

近年のコロナ禍に伴う外出自粛の要請により、身体を動かす時間が減って、子どもの基礎免疫力は低下していると推測される状況です。


2023年は基本的に外出自粛の要請が解除されており、子どもは身体を動かして遊ぶようになっています。


しかし、低下した基礎免疫力はすぐに高められるわけではありません。基礎免疫力が低下している状態で、外出する機会が増えていることが、季節外れのプール熱の流行につながっていると考えられます。


●外出自粛によるプール熱にかかる頻度の減少

コロナ禍での外出自粛により、子どもがプール熱にかかる頻度は減少していました。


プール熱の原因であるウイルスの免疫を獲得できず、プール熱にかかりやすい状況になっていると考えられます。


●家族間でのタオルやカトラリーの共用

コロナ禍による基礎免疫力の低下は、子どもだけではなく大人にも起きています。


大人がプール熱の原因のウイルスに感染した状態で、家族間でのタオルやカトラリーの共用をすると、子どもの感染が起こる可能性があるでしょう。


2.そもそもプール熱(咽頭結膜熱)とは?

プール熱とは、アデノウイルスに感染することで引き起こされる急性のウイルス感染症です。プール熱は俗称であり、正式名称は「咽頭結膜熱」と呼びます。

プール熱という俗称は、プールでの接触やタオルの共用によって感染するケースが多く見られたことに由来しています。原因となるアデノウイルスは、プールの塩素濃度ではなかなか死滅せず、アルコール消毒も効きにくい点が特徴です。

また、アデノウイルスには60以上の型があり、1つの型で免疫を獲得しても、別の型では免疫が働かずに感染する可能性があります。プール熱の流行は主に3型の感染が原因であるものの、2型・4型・7型・11型などもプール熱の症状を引き起こすことがある型です。

2-1.感染経路

プール熱の感染経路は、下記の2つがあります。

飛沫感染

感染者の唾液や咳・くしゃみの飛沫を鼻・口から吸い込んで感染する

接触感染

ウイルスが付着したドアノブ・タオル・カトラリーなどに触った指で、目や口を触ることで感染する


アデノウイルスは塩素やアルコールでも死滅しにくいため、接触感染に特に注意しましょう。プールの水が塩素消毒不足である場合は、プールの水を介した接触感染により、ウイルスが結膜に直接侵入するケースもあります。

アデノウイルスは感染力が非常に高く、子どもがプール熱に感染した場合は学校保健安全法の定めにより、症状がなくなってから2日が経過するまで出席停止となります。

2-2.潜伏期間と主な症状

プール熱の潜伏期間は感染から5日~7日です。

潜伏期間後に現れる症状としては、下記のものが挙げられます。

発熱

38℃以上の発熱が3~7日程度続きます。

頭痛

発熱とともに頭痛の症状が現れます。

咽頭痛

咽頭の炎症による咽頭痛が起こります。

食欲不振

咽頭痛により食事・水分がとりにくくなり、食欲不振が見られます。

結膜充血・眼痛などの眼症状

眼の充血・痛みや、眼が開けられないほど目やにが出る、涙が出やすくなるなどが主な症状です。多くの場合は片目に症状が現れた後に、両目へと移行します。


全身の倦怠感や首の後ろにあるリンパ節の腫れなども、プール熱で現れやすい症状
です。

大人がプール熱に罹患した場合は、症状が長引きやすい傾向があります。

新生児が感染した場合は全身性感染を起こすケースがあるなど、重症化しやすいため注意してください。

2-3.罹患しやすい年齢

プール熱に罹患しやすい年齢は、季節性の流行であれば学童年齢が主となっています。特に感染者数の約60%が5歳以下であり、子どもが罹患しやすい病気です。

しかし、季節外れのプール熱は子どもから大人に感染するケースも多数報告されています。

大人が罹患した場合は症状が長引きやすく、プール熱の感染を広げてしまうおそれがある点に注意してください。

プール熱の症状が強く出てはいなくてもアデノウイルスの感染力は高いため、子どもから感染した大人が、別の子どもに感染を広げる可能性もあります。

3.プール熱の治療法・対処法

プール熱には特効薬がなく、治療法は症状に応じた対症療法が中心となります。

プール熱を早く治すためには、医療による対症療法のほかに、身体を休めたり栄養補給をしたりといった対処法も実践しましょう。

下記に、プール熱にかかってしまったときの自宅でできる対処法を3つ紹介します。

睡眠をしっかりととれるように対策する

プール熱の症状には高熱・頭痛・咽頭痛やリンパ節の腫れなどがあり、睡眠をとりにくくなって身体を休められないことがあります。首の後ろや脇の下を冷やしたり、部屋を加湿したりといった対策をして、睡眠をしっかりととれるようにしてください。

 

水分をこまめに摂取する

プール熱の症状には咽頭痛があり、水分摂取がつらくなるものの、水分をとらないと脱水症状を起こす可能性があります。水・麦茶・経口補水液は刺激が少なく、プール熱のときにも比較的喉を通りやすい飲み物です。

 

消化がよいものや、喉に刺激を与えないものを食べさせる

食事は、おかゆ・うどんなどの消化がよいものや、ゼリー・ヨーグルト・フルーツといった喉に刺激を与えないものを食べさせましょう。


ただし、食欲不振のときに無理に食べさせると、食事を吐いてかえって体力を消耗させるおそれがあります。本人が食べたがっているときに食べさせるようにしましょう。


4.プール熱の感染を防ぐためにできる予防法

子どもがプール熱でつらい思いをしないためには、プール熱そのものの感染をなるべく防ぐことが大切です。

最後に、プール熱の感染を防ぐためにできる3つの予防・対策法を紹介します。

●帰宅時の手洗い・うがいを徹底する

手洗い・うがいは、飛沫感染と接触感染によるプール熱の予防ができます。接触感染は家庭内でも起こるため、子どもだけではなく大人も帰宅時は手洗い・うがいを行いましょう。


●タオルやカトラリーの共用をやめる

タオルやカトラリーの共用は、家庭内でのプール熱の接触感染につながります。タオルやカトラリーは1人が使った後は必ず洗って、家族間での使い回しを避けてください。


●感染者との接触をなるべく避ける

プール熱の原因であるアデノウイルスは感染力が高いため、感染者との接触をなるべく避けましょう。飛沫感染と接触感染が起こりにくくなり、プール熱に感染する可能性を低減できます。


まとめ

2023年は季節外れのプール熱が流行しています。

季節外れのプール熱は子どもだけではなく、大人が罹患するケースも多く報告されています。紹介した3つの方法でプール熱の予防を実践し、もしも感染したときには睡眠の対策や水分補給をしっかりと行いましょう。

プール熱は、症状が長引いたり、重症化したりするケースもあります。万が一に備えるには、病気のときに利用できる保険・共済への加入がおすすめです。

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