2023/2/8(最終更新日)

入院時に役立つ「限度額適用認定証」とは?自己負担限度額・申請方法

自分や家族の入院などで、医療費の負担が大きくなっている方もいるでしょう。高額療養費制度により最終的に支払う金額は抑えられますが、窓口での支払いで一時的に自己負担する必要があるため、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、入院などで医療費が高額になることが予想される方に役立つ「限度額適用認定証」について解説します。限度額適用認定におけるポイントや申請方法も併せて確認し、医療費への不安を少しでも和らげましょう。

目次

1. 限度額適用認定証とは?

2. 限度額適用認定における自己負担額のポイント

2-1. (1)自己負担額は世帯で合算できる

2-2. (2)被保険者の年齢・所得状況により設定される

2-2-1. 【69歳以下】自己負担限度額

2-2-2. 【70歳以上75歳未満】自己負担限度額

2-3. (3)「多数該当」で自己負担限度額がさらに下がる

3. 限度額適用認定証の申請方法

まとめ

1. 限度額適用認定証とは?

「限度額適用認定証」とは、健康保険に加入している方が高額な医療費の支払いを抑えるために利用できる制度、および利用に必要な書類を指します。限度額適用認定証を事前に申請して医療機関に提示することで、窓口における医療費の支払額を自己負担限度額までに抑えることが可能です。

限度額適用認定証と似た制度として「高額療養費制度」を知っている方も多いでしょう。「限度額適用認定証」は、高額療養費制度の枠組みに含まれる制度の1つです。しかし、高額療養費制度のみを利用する場合と限度額適用認定証を利用する場合とでは、医療費負担の流れが少し異なる点に留意しましょう。

そもそも高額療養費制度とは、医療機関の窓口で支払った医療費のうち「自己負担限度額」を超過した分のお金が後から戻ってくる仕組みを指します。高額療養費制度を利用することで、最終的な医療費の支払いは抑えられますが、自己負担限度額を超えた分の金額は窓口で一度立て替えなければなりません。

一方、限度額適用認定証を医療機関に提示すれば、窓口での支払いを高額療養費制度の自己負担限度額までに抑えられます。自己負担限度額を超える費用を立て替えなくてもよいため、経済的な不安も軽減できるでしょう。

高額療養費制度や限度額適用認定証は、健康保険に加入している方であれば誰でも利用の申請ができます。しかし、高齢者の場合は現役世代や子ども世代とは扱いが異なるため注意しましょう。

70歳以上75歳未満の方の場合、限度額適用認定証を申請しなくても「高齢受給者証」を提示することで窓口負担を自己負担限度額まで抑えることが可能です。ただし、70歳以上75歳未満の現役並み所得者の場合、窓口負担を自己負担限度額まで抑えたい場合は限度額適用認定証を提示する必要があります(2018年8月診療分以降)。

このように、限度額適用認定証は制度を利用する人の年齢や収入によって扱いが異なります制度を実際に利用する人の状況にあてはめた上で、どのような手続きが必要なのか検討しましょう。

2. 限度額適用認定における自己負担額のポイント

限度額適用認定の制度を上手に活用するためには、次の2つのポイントを把握しておくことが大切です。

ここでは、上記の2点について詳しく解説します。限度額適用認定に関する重要なポイントを押さえ、制度をうまく活用しましょう。

2-1. (1)自己負担額は世帯で合算できる

高額療養費制度など、医療費に関する制度の多くは世帯で合算して考えることが可能です。

「同一世帯で複数の方が同じ月に病気・ケガなどで医療機関を受診する」「1人が複数の医療機関を受診する」などの月は、事前に限度額適用認定証を申請しておくとよいでしょう。

ただし70歳未満の場合、それぞれの医療機関における各人の自己負担額が21,000円以上のもののみ合算可能であることに注意が必要です。同じ医療機関を受診した場合は、診療科ごとに会計となることを押さえておきましょう。同じ診療科でも「入院」と「外来」は別会計となります。

なお、医療機関で交付された処方箋で調剤を受けた場合、薬局における自己負担額は処方箋を交付した医療機関に含めて計算します。また、入院時の差額ベッド代や食事代、保険外診療の負担分は、高額療養費および限度額適用認定の制度の対象とならないことに注意しましょう。

2-2. (2)被保険者の年齢・所得状況により設定される

限度額適用認定は、被保険者の年齢や所得状況によって設定されることにも留意しましょう。健康保険に加入している69歳以下の方は、全員が制度の対象となります。一方、70歳以上75歳未満の方は「低所得者」「一般所得者」と「現役並み所得者(年収約370万〜1,160万円)」で利用できる制度が異なることに注意が必要です。

なお、75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となります。後期高齢者医療制度に加入することで交付される「後期高齢者医療被保険者証」を提示することで、限度額適用認定と同様の扱いを受けられます。

ここでは、69歳以下の方と70歳以上75歳未満の方について、自己負担限度額の目安を紹介します。制度を利用する方の年齢や収入をふまえた上で、利用可能な制度を確認しましょう。

2-2-1. 【69歳以下】自己負担限度額

69歳以下における医療費の自己負担限度額は、次の表のとおりです。

※医療費の総額…保険適用の診察にかかる費用の総額(10割)

(出典:厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」)/https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

2-2-2. 【70歳以上75歳未満】自己負担限度額

70歳以上75歳未満における医療費の自己負担限度額は、次の表のとおりです。


2-3. (3)「多数該当」で自己負担限度額がさらに下がる

(出典:厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さま」)/https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

過去12か月以内で自己負担限度額に達した回数が3回以上となる場合、4回目以降は「多数回該当」となります。本来の自己負担限度額よりもさらに上限額が下がるため、安心して医療を受けることができます。

※70歳以上の場合、住民税非課税の区分の方には多数回該当が適用されない。

(出典:厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さま」へ)/https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

3. 限度額適用認定証の申請方法

自分や家族の入院が決まったら、窓口での負担を減らすためにも、限度額適用認定証を早めに申請・入手しましょう。限度額適用認定証の申請先は、各保険組合の運営主体となります。必要書類を揃えて「窓口に持参」「郵送」のいずれかの方法で提出してください。

〇限度額適用認定証申請に必要な書類

健康保険の種類や年齢・所得によっては、さらに書類が必要となる場合があります。申請前に必ず加入している健康保険における必要書類を確認しましょう。

申請書の提出後、1週間ほどで限度額適用認定証が届き、利用可能となります。ただし、限度額適用認定証には有効期限(最長で申請から1年間)があることに注意しましょう。標準月額報酬の基準額が決まる7月・8月を有効期限とするケースもあるため、利用前に必ず確認してください。

まとめ

限度額適用認定証とは、高額療養費制度の1つであり、医療機関の窓口で自己負担限度額を超える費用を立て替えずに済む書類のことです。健康保険に加入している方であれば誰でも申請できますが、被保険者の年齢や所得状況により利用できる制度が少し異なる点に注意が必要です。

また、「世帯での合算可」「多数回該当によりさらに自己負担額が軽減」などのポイントを押さえると、高額療養費や限度額適用認定の制度を上手に活用できます。入院などが決まったら早めに限度額適用認定証の申請を行い、経済的な不安を和らげた上で医療を受けられるようにしましょう。

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