ストレスを感じることが多い現代社会において、うつ病は誰でもかかりうる疾患のひとつと言えます。実際にうつ病と診断された方や、うつ病の兆候を感じている方もいるでしょう。うつ病と診断された場合には、仕事を一定期間休んだり通院したりする必要があるため、収入や医療費・生活費の心配をしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、うつ病が仕事に及ぼす影響や、うつ病の方が生命保険など各種保険に加入する条件、うつ病でも加入しやすい保険について解説します。活用可能な公的保障やおすすめの保険・共済商品も併せて確認し、経済面での不安を少しでも和らげましょう。
目次
1. うつ病は仕事にどのような影響を及ぼすのか
社会人が働くことの目的のひとつに「収入を得て生活の基盤を維持すること」が挙げられます。しかし、うつ病を患うと思ったように働くことができず、休職・退職せざるを得ない場合も珍しくありません。それでは、うつ病は仕事にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
武田薬品工業の調査によると、うつ病と診断された社会人のうち、約6割が仕事を休んで療養しています。休職期間は人によって様々ですが、1ヶ月以上休んだ方が75%を占めており、1年以上休んでいる方は22%に上ります。うつ病の診断後、退職した方が22%いることも見落とせないポイントです。
仕事を休んでいる間に静養しても、元の部署で以前のように働くことが難しいことも考えられます。もちろん、休職後に元の部署で復職した方はうつ病で休職した方の35%を占めていることから、元の部署に戻れるまで症状が快癒した方も珍しくありません。
一方で、うつ病で休職した方のうち、他の部署に異動して復職した方は18%、休職後に退職した方は37%を占めています。元の部署や従来の業務に戻れないケースがあることも覚えておく必要があるでしょう。休職の長期化や復職後のうつ病再発に備え、将来のためにできる限り準備することが大切です。
(出典:武田薬品工業「勤務形態別うつ患者さん定量調査」/https://www.takeda.com/ja-jp/announcements/2020/WMHD/)
2. うつ病の人は生命保険に加入できる?
うつ病の場合、長期の入院や通院、服薬が続く可能性が高く、他の病気にもつながるリスクも高いと保険会社が判断することがほとんどです。現在加入している保険を継続することは可能でも、新規加入は難しいと言えるでしょう。
このように、うつ病の方は生命保険や医療保険への加入ハードルが健康な方よりも高い状態です。保険に加入しやすい条件や保険に関するポイントを押さえ、可能な限り将来への備えを整えておきましょう。
2-1. うつ病診断後でも生命保険に加入しやすい条件
生命保険や医療保険に加入する際には、一般的に被保険者の直近5年以内の通院歴・入院歴・投薬歴、現在の健康状態などを保険会社に告知する義務があります。
一方、5年以上前にうつ病が完治しており、その後は診察・治療を受けていない場合には告知義務はありません。また、医師の診断によっては完治から5年以内でも加入が認められる場合もあります。告知の条件や加入条件は保険会社や商品によって異なるため、加入申し込みの際には保険会社に可能な限り詳細な状況を伝え、トラブルを未然に防ぎましょう。
2-2. うつ病を隠しての保険申し込みはNG
うつ病を隠して保険加入に申し込むなど、うつ病であることを保険会社に事前に告知しなかった場合、告知義務違反とみなされる恐れがあります。
告知義務違反が発覚しだい契約解除となったり、保障を受けられなくなったりする可能性があるため、うつ病であることは事前に必ず告知するようにしましょう。共済の場合、うつ病での方でも加入できる共済商品が多い傾向があるため、共済の中から自分に適する商品を選ぶこともおすすめです。
2-3. 保険更新時にうつ病の告知義務はなし
うつ病を患う前に、定期的に更新するタイプの生命保険や医療保険に加入していた方の場合、更新が可能かどうか気になる方も多いのではないでしょうか。
更新時には疾患や健康状態に関する告知は必要ないことが一般的であり、新規加入時のような審査もないため、基本的にはそのまま更新することが可能です。ただし一度解約したものに再加入する場合は、改めて告知義務が発生したり審査が行われたりすることに注意しましょう。
3. うつ病でも加入しやすい3つの保険
うつ病の場合、健康な方よりも生命保険や医療保険に加入するハードルが高くなるものの、すべての保険に加入できないわけではありません。うつ病でも加入しやすい保険には、どのようなタイプのものがあるのでしょうか。
ここでは、うつ病の方も比較的加入しやすい3種類の保険について解説します。
3-1. 引受基準緩和型医療保険
「引受基準緩和型医療保険」とは、一般的な保険よりも告知条件のハードルが低い医療保険であるため、うつ病を患っている方でも比較的加入しやすい保険と言えます。
ただし、「保険料が割高である」「特約が限られる」「保障の削減期間がある」などのデメリットもあることに注意が必要です。加入条件や保険料をきちんと確認した上で加入を検討しましょう。
3-2. 無選択型保険
引受基準緩和型医療保険への加入が難しい場合、無選択型保険への加入を視野に入れてもよいでしょう。「無選択型保険」とは事前の告知が不要な保険であり、引受基準緩和型医療保険よりも加入できる可能性が高い保険です。
無選択型保険には大多数の方が加入できますが、一般的な保険と比べると加入年齢や保障内容に制限がある場合がほとんどです。引受基準緩和型保険よりも保険料が割高であることや、基本的には既往症は保障されないことを考慮した上で、加入するかどうか考えてみるとよいでしょう。
3-3. がん保険
「がん保険」とは、がん治療を保障対象とした保険を指します。がん保険の告知事項はがんの既往歴(診察歴・入院歴・投薬歴)など、がんに関することに限られています。
がん保険加入にあたってうつ病であることを告知する必要はないため、うつ病の方でも加入しやすいと言えるでしょう。
4. うつ病になってしまったら|頼れる公的保障4つ
一般的な民間保険では加入時にうつ病を告知する必要があるため、うつ病の方は加入のハードルが上がります。加入しやすい保険も保険料が割高であったり保障内容に制限があったりする場合も多いため、公的保障を積極的に活用することが重要です。
ここでは、うつ病になってしまった場合にも頼りになる4つの公的保障を紹介します。制度をしっかりと活用し、経済面での不安を可能な限り軽減しましょう。
4-1. 高額療養費制度
「高額療養費制度」とは、1ヵ月にかかった医療費の自己負担額について、所得に応じた限度額(上限額)を設ける制度です。月あたりの自己負担額が限度額を超えた場合、超過分については払い戻しを受けられます。
また、1年間のうち高額療養費制度の払い戻しが3ヵ月以上ある場合、「多数該当」として4ヵ月目以降は限度額が下がります。限度額は所得によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
4-2. 傷病手当金
公務員や会社員が加入している公的医療保険では、病気やケガなどで休業した際に「給与日額×2/3×休業日数」の「傷病手当金」を受け取れる制度があります。
連続休業4日目から、最大で1年6ヵ月まで受給できるため、療養が長期化しやすいうつ病の方も活用しやすい制度と言えるでしょう。
4-3. 心身障害者医療費助成制度
「心身障害者医療費助成制度」とは、心や体に障害をもつ方の医療費負担を軽減する制度です。うつ病の場合、精神障害者保健福祉手帳が交付されていればこの制度を活用できます。
制度の内容や対象となる障害の度合いは、都道府県・市町村といった自治体によって異なります。制度の利用に所得制限が設けられている場合もあるため、居住地の自治体に問い合わせて確認しておきましょう。
4-4. 自立支援医療制度
「自立支援医療制度」は、医療費の自己負担額に上限を設けることにより、患者の医療費負担を軽減する制度です。公的医療保険では3割負担となるケースでも、この制度を活用すれば1割負担にできるため、医療費負担を大幅に軽減することができます。
ただし、自立支援医療制度の対象は通院治療やデイケア、訪問介護が中心であり、入院や保険適用外のケアは制度の対象外です。風邪やケガなど、精神疾患以外の病気やケガは制度の対象とならないことにも注意しましょう。
まとめ
うつ病と診断された場合、心身ともに健康な方と比べると、民間の生命保険や医療保険に加入するハードルは高くなります。うつ病でも加入しやすい保険への加入を検討したり、公的保証をしっかり活用したりと、経済的な不安を軽減するために準備することが重要です。
生活クラブ共済連では、 CO・OP共済《たすけあい》 生活クラブ共済ハグくみなど、うつ病と診断された方でも加入のハードルが一般的な保険よりも低い共済商品を取り扱っています。うつ病の方で、生命保険や医療保険への加入を考えている方は、ぜひ生活クラブ共済連の共済への加入をご検討ください。