ペットの治療費を補償するペット保険には、オプションで特約を追加できる場合があります。さまざまな種類がある特約の中でも、多くのペット保険で用意されている特約が「ペット賠償責任特約」です。
ペット賠償責任特約が具体的に役立つケースを知りたい、必要性を理解した上で付帯を判断したい人も多いのではないでしょうか。当記事ではペット賠償責任特約とは何かを、費用詳細や補償対象・対象外となるケースも含めて分かりやすく解説します。
目次
3-2. 被保険者の損害賠償責任は発生したが補償対象外だった
1. ペット賠償責任特約とは?
ペット賠償責任特約とは、飼っているペットが他人にケガをさせてしまったり、他人のものを壊してしまうことで損害を与えたとき、損害賠償金額のうち一定範囲内を保険で補償できる特約です。ペットのケガや病気に備えるために加入するペット保険に対して、ペット賠償責任特約はペットが危害を加えたときのために付帯します。
実際に、ペットが他人に損害を与えるケースは少なくありません。環境省が発表した動物愛護管理行政事務提要資料の「犬による咬傷事故状況(平成30年度)」では、平成30年度の犬による咬傷事故件数は4,249件でした。同年度の咬傷事故を起こした咬傷犬のうち、4,235頭は飼い犬であるように、ペットが他人に損害を与えるケースは起こり得ます。
(出典:環境省「3. 動物による事故」/https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r01_3_3_1.pdf)
ペット賠償責任特約は、ペットが他人に損害を与えたときの自己負担を抑えるために必要性の高い特約です。
1-1. ペット賠償責任特約の保険料と補償金について
ペット賠償責任特約を付帯するときは、本体であるペット保険の保険料に加えて、特約分の保険料を追加で支払う必要があります。ペット賠償責任特約の保険料が負担にならないか、心配な人も多いでしょう。
下記に、ペット賠償責任特約の保険料と補償額の例をいくつか紹介します。
上記3社の例で挙げたように、ペット賠償責任特約の保険料は一貫して少ない額に抑えられていることが特徴です。年払で約1,000~1,500円、月払でも約80~150円が保険料の相場であり、生活の負担となる心配はほとんどありません。
一方で、補償額の限度額は300万~1,000万円と保険会社によって大きく差が開きます。他人に与えた損害の内容によっては損害賠償額が高額となるケースがあるため、十分な限度額の商品を選ぶことが大切です。限度額の定め方も、1事故につき限度額を定める商品と、年間で限度額を定める商品があります。
また、保険会社によっては1事故につき数千円の自己負担額が必要なケースもあります。保険会社の説明や約款をしっかりと確認した上で、支払う保険料と補償額のバランスを考えてペット賠償責任特約を選ぶことをおすすめいたします。
2. ペット賠償責任特約の補償対象となるケース
ペット賠償責任特約の補償対象となるケースは、主に「対人賠償」「対物賠償」「対ペット賠償」の3つです。3つのケースそれぞれについて、具体的なシーンを紹介します。
〇対人賠償のシーン
〇対物賠償のシーン
〇対ペット賠償のシーン
上記のようにペットが他人にケガを負わせたり、他人の所有物やペットに危害を加えたりしたときが、ペット賠償責任特約の補償対象となるケースです。
3. ペット賠償責任特約の補償対象とならないケース
ペット賠償責任特約は、ペットが他人に損害を与えた場合に無条件で補償を受けられる特約ではありません。ペットが他人に損害を与えた状況によっては補償対象とならず、保険金が支払われないケースもあるため注意が必要です。
ペット賠償責任特約の補償対象とならない2つのケースを解説します。
3-1. 被保険者の損害賠償責任が発生しなかった
被保険者の損害賠償責任が発生しなかったケースでは、ペット賠償責任特約の補償対象となりません。具体的には、下記の状況が例として挙げられます。
〇ドッグラン参加中に犬同士が衝突して、他人の犬にケガを負わせた
ドッグラン内で犬同士が衝突したことにより他人の犬にケガを負わせた場合、一般的に被保険者の過失にはなりません。
〇ペットをペットホテルに預けているときに、他人のペットにケガを負わせた
ペットが被保険者以外の人に管理されている状況での事故は、被保険者に損害賠償責任が発生しない場合があります。
〇ペットが他人の大事にしている物品を破壊したときの慰謝料
事故の状況や損害の内容によって異なるものの、対物・ペットの事故でも被害者への慰謝料が発生しないことがあります。
3-2. 被保険者の損害賠償責任は発生したが補償対象外だった
被保険者の損害賠償責任は発生したが補償対象外だったケースでは、ペット賠償責任特約の保険金が支払われません。下記の状況が例として挙げられます。
〇レンタル中のDVDをペットが破損してしまった
被保険者が所有や管理をしているものは、他人から預かっている物品であっても、ペット賠償責任特約の補償対象外です。
〇同居中の親族にペットがケガを負わせてしまった
被保険者と同居する親族は「他人」と見なされず、補償対象外です。
〇狂犬病のワクチン接種を怠って、他人のペットに損害を負わせてしまった
犬を飼育する場合は、狂犬病のワクチン接種が義務付けられています。ワクチン接種を怠ったことで生じた他人への損害は、ペット賠償責任特約では補償されません。
4. ペット賠償責任特約は「重複契約」に要注意!
ペット賠償責任特約を付帯するときは、他の保険との重複契約に注意してください。自動車保険や火災保険の中には、個人賠償責任特約と呼ばれる特約を用意する商品もあります。
個人賠償責任特約とは、日常生活の事故によって法律上の損害賠償責任が発生した場合に、保険で補償してくれる特約です。個人賠償責任特約の補償対象にはペットが他人に損害を与えたケースも含まれており、基本的にペット賠償責任特約よりも補償額が高くなっています。
ペット賠償責任特約と個人賠償責任特約を重複契約しても、保険金を重複して受け取れるわけではありません。保険金は実際の損害額以上には支払われないため、重複契約は保険料を無駄に支払うこととなってしまいます。
5. ペットによる賠償責任事故が発生した際の流れ
ペットによる賠償責任事故が発生した際は、下記の流れで事故発生後の処理を進めます。
事故が対人や対ペットの場合は、被害者の救護を最優先で行います。写真撮影では損害状況のわかる写真が必要です。
救護や写真撮影を終えた後は、すみやかに保険会社に通知してください。保険会社によっては、被保険者の代わりに示談交渉をしてくれるサービスが付帯することもあります。
まとめ
ペット賠償責任特約は、ペットが他人に損害を与えたときに保険から保険金が支払われる特約です。ペット賠償責任特約を付帯しておくと、万一のときにも賠償金額が全額自己負担とならずに済みます。
ペット賠償責任特約を検討する上では、補償対象・対象外となるケースを知っておくことが大切です。契約する前には、加入保険の特約との重複契約にも注意しましょう。
ペット賠償責任特約の付帯や、あわせてペット保険の見直しも検討している人はアニコム ペット保険をぜひチェックしてください。
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