2022/12/8(最終更新日)

【2022年4月】不妊治療が保険適用に|適用条件・メリットを解説!

法改正により、不妊治療の保険適用範囲が拡大されました。不妊治療は経済的な負担が大きいため、保険適用は不妊に悩む人にとって大きなメリットと言えます。保険適用で不妊治療を行う場合は、法改正について正しく理解しておくことが大切です。

今回は、「新たに保険適用の対象となった不妊治療法」と「保険適用条件」について解説します。不妊治療の保険適用によって得られるメリットにも触れるため、不妊治療を検討している人や治療の継続を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 2022年4月から不妊治療が公的医療保険の適用対象に

1-1. 不妊治療が保険適用となった背景

2. 新たに保険適用の対象となった不妊治療法

2-1. タイミング法(一般不妊治療)

2-2. 人工授精(一般不妊治療)

2-3. 体外受精(生殖補助医療)

2-4. 顕微授精(生殖補助医療)

3. 不妊治療の保険が適用される条件は?

4. 不妊治療が保険適用となったことの主なメリット

まとめ

1. 2022年4月から不妊治療が公的医療保険の適用対象に

2022年4月から、不妊治療が公的医療保険の適用対象となりましたただし、以前から保険が適用されていた検査や治療もあるため、今回の法改正は厳密には適用範囲の大幅な拡大と言えます。

法改正前から保険適用となっている不妊治療の内容は、下記の通りです。

不妊の原因を特定するための検査には、診察・精子の所見・画像検査・血液検査などがあります。女性不妊または男性不妊の原因となる症状に対して行われる手術や薬物療法も、保険適用の対象となっています。

1-1. 不妊治療が保険適用となった背景

不妊治療が保険適用となった背景には、社会問題と経済的な負担が影響しています。不妊治療の保険適用範囲を拡大した主な目的は、以下の通りです。

〇少子高齢化

2021年の出生数は、811,604人で過去最少を更新しました。出生数の減少傾向は今後も続くと予想されています。

(出典:厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

妊娠を望む夫婦の中には、さまざまな原因で妊娠できずにいる人もいます。妊娠する可能性や出生率の向上を目指すことが、不妊治療の保険適用範囲を拡大した理由の1つです。

〇不妊治療費用の負担

不妊治療にかかる主な費用は、治療費・薬剤費・通院費用などです。また、サプリメントの購入やメンタル面を保つための出費など、治療費用以外の二次的出費も発生します。

不妊治療は、選択する治療法や治療期間によって費用総額が大きくなる場合があります。不妊治療費用が総額で100万円を超えるケースも珍しくありません。体外受精や顕微授精などの高度不妊治療であれば、200万円以上かかることもあります。

不妊治療の保険適用範囲拡大は、子どもを持ちたい人が経済的な負担を感じることなく不妊治療に向き合える社会づくりの一環と言えます。

2. 新たに保険適用の対象となった不妊治療法

新たに保険適用の対象となった不妊治療法は、下記の4つです。

(出典:厚生労働省「不妊治療に関する支援について」/https://www.mhlw.go.jp/content/000944702.pdf

これまで経済的な負担がネックとなっていた人も、安心して保険適用で治療が受けられます。保険適用の不妊治療法をチェックして、不妊治療を検討してみましょう。

ここでは、それぞれの不妊治療法について詳しく解説します。

2-1. タイミング法(一般不妊治療)

タイミング法は、一般不妊治療の1つです。排卵のタイミングで性交渉できるように、基礎体温の記録・超音波検査・血中のホルモン量チェックなどを行います。妊娠しやすいタイミングのアドバイスが主な内容で、身体への負担が少ない治療法です。

不妊の原因がない夫婦の場合、月1回のタイミング法を繰り返すことで妊娠するケースが多く見られます。タイミング法で妊娠に至らない場合に、他の治療法へのステップアップを検討するケースが一般的です。

2-2. 人工授精(一般不妊治療)

人工授精は、タイミング法と同様に一般不妊治療に分類されます。タイミング法で妊娠に至らなかった場合や、性交渉の障害がある場合に選ばれることが多い治療法です。

人工授精では、排卵期のタイミングで精液を子宮内に注入します。精子の状態を確認して、前進率や運動率が高い精子を選別できるため、妊娠率を高めることが可能です。性交渉は伴わないものの、自然な受精に近い状態で妊娠することができます。

人工授精の場合、4~6回の治療で妊娠するケースが多く見られます。

2-3. 体外受精(生殖補助医療)

体外受精は、生殖補助医療の1つです。タイミング法や人工授精で妊娠に至らなかった場合や、卵管性不妊に悩む人が選択することが多い治療法です。

事前に卵子と精子を体外に取り出しておき、体外で受精させて順調に細胞分裂する胚を子宮に移植して着床を目指します。着床に適した時期まで胚凍結保存をすることも可能です。

妊娠の有無は、胚移植から10日程度経過してから血液検査で確認します。

2-4. 顕微授精(生殖補助医療)

顕微授精は、事前に採取した卵子に精子を直接注入する方法です。体外受精は卵子に精子をかけて受精させるのに対して、顕微授精は前進率や運動率が高い精子を選んで一匹だけ注入します。射精が困難な場合は、手術用顕微鏡で精巣内から精子を採取することもできます。

「精子の所見が悪い」「精子を作る機能が低下している」などの場合は、男性不妊手術(顕微鏡下精索静脈瘤手術)を受けることも選択肢の1つです。手術を受けることで、精子所見の改善が期待できます。

3. 不妊治療の保険が適用される条件は?

不妊治療の保険適用が受けられる条件は、下記の通りです。

(出典:厚生労働省「不妊治療に関する支援について」/https://www.mhlw.go.jp/content/000944702.pdf

保険適用の対象者は、妊娠を希望する夫婦または事実婚の男女に限られます第三者からの精子・卵子・胚の提供、代理懐胎は保険適用の対象外です。

事実婚の男女が不妊治療の保険適用を受けるには、関係確認のために誓約書の記入や戸籍謄本などの書類提出が必要となる場合があります。

体外受精の保険適用回数は、採卵の回数ではなく胚移植の回数をカウントします。発育停止などの理由で胚移植に至らなかった場合は、保険適用回数に含まれません。

保険適用の不妊治療であれば、窓口負担は3割となります。ただし、保険適用外の治療を受けた場合や回数・年齢制限を超えた場合は、全額自己負担となるため注意しましょう。

4. 不妊治療が保険適用となったことの主なメリット

不妊治療の保険適用範囲の拡大は、妊娠を目指す夫婦や男女にとってさまざまなメリットがあります。以下では、不妊治療が保険適用になったメリットを2つ解説します。

〇不妊治療の経済的負担が軽減する

「不妊治療=お金がかかりそう」というイメージを持つ人が少なくありません。治療法や期間によっては、不妊治療費用が高額となる場合がありますが、不妊治療が保険適用となったことで経済的な負担は大幅に軽減されます。

保険適用回数の上限を超えて不妊治療の費用が高額になった場合は、高額療養費制度の利用もおすすめです。経済的な負担を軽減しつつ妊娠を目指したい人は、保険適用の不妊治療や高額療養費制度の利用も検討してみましょう。

〇不妊治療・出産を前向きに検討できるようになる

保険適用により自己負担額が大幅に減ったことで、不妊治療に取り組むハードルは低くなりました。自由診療から保険診療に変わったことで、社会的理解が深まることもメリットの1つです。

不妊治療への周囲の理解が得やすくなれば、不妊治療や出産を前向きに検討しやすくなります。第1子だけでなく、第2子以降の妊娠・出産を希望する夫婦や男女にとっても、大きなメリットと言えます。

まとめ

少子化対策や不妊治療費の負担軽減を目的に、2022年4月から不妊治療の保険適用範囲が拡大されました。新たに保険適用の対象となった治療法は、タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精の4つです。

不妊治療の保険適用には、年齢制限や保険適用回数の上限が定められています。保険適用の対象者は、自己負担割合3割で不妊治療を受けることが可能です。

保険適用の不妊治療を行うことで、経済的負担を軽減できます。

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