2023/2/11(最終更新日)

後期高齢者の医療費の自己負担割合は?負担軽減のための措置2つ

後期高齢者医療制度の見直しが行われ、2022年10月1日より医療費の自己負担割合が一部変わりました。すでに後期高齢者である、もしくは近いうちに後期高齢者になる方は、自己負担割合がどのように変わったか気になるのではないでしょうか。

75歳以上の方は、自動的に後期高齢者医療制度に加入します。所得状況によっては自己負担割合が増えるため、現在の制度内容を把握することが大切です。

当記事では、後期高齢者の医療費の自己負担割合や、負担軽減のための措置についてを中心に解説します。

目次

1. そもそも「後期高齢者医療制度」とは?

2. 後期高齢者の医療費の自己負担割合

2-1. 一般所得者:1割

2-2. 一定以上の所得がある者:2割

2-3. 現役並み所得者:3割

3. 【後期高齢者医療制度】自己負担割合の見直しが行われた背景

4. 後期高齢者の窓口負担を軽減するための措置2つ

4-1. 自己負担割合が2割となる方への配慮措置

4-2. 高額療養費制度

まとめ

1. そもそも「後期高齢者医療制度」とは?

後期高齢者医療制度とは、後期高齢者と一部の前期高齢者を被保険者とする公的医療保険制度のことです。具体的な被保険者は下記の通りとなっています。

公的医療保険は他に2種類があり、会社員や公務員などの方は「被用者保険」、自営業者などの方は「国民健康保険」に加入しているケースが一般的です。

どちらの保険に加入している場合であっても、75歳になった時点で加入中の保険から脱退し、自動的に後期高齢者医療制度へと加入します。後期高齢者医療制度の加入時には、「後期高齢者医療被保険者証」が交付されます。

2. 後期高齢者の医療費の自己負担割合

後期高齢者の医療費の自己負担割合は、「一般所得者」「一定以上の所得がある者」「現役並み所得者」の3パターンでそれぞれ異なります。

後期高齢者医療制度の被保険者となる方は、自分の所得では自己負担割合がいくらになるかを把握しましょう。

ここでは、それぞれの自己負担割合の違いや、対象者の条件を解説します。

2-1. 一般所得者:1割

一般所得者の自己負担割合は、「医療費の1割」です。一般所得者は、下記のいずれかの条件に当てはまる方が該当します。

令和3年度における平均年金月額は、厚生年金が「145,665円」、国民年金が「56,479円」でした。被保険者が1人のみで収入が年金のみ、もしくは被保険者が夫婦でそれぞれ厚生年金と国民年金を受給している場合は、一般所得者に該当する可能性が高くなります。

(出典:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」/https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf

2-2. 一定以上の所得がある者:2割

一定以上の所得がある者の自己負担割合は、「医療費の2割」です。

一定以上の所得がある者の対象は、まず「世帯にいる被保険者の方のうち、課税所得が28万円以上・145万円未満の方がいる」ことが前提です。

さらに、下記のいずれかの条件に当てはまる方が、一定以上の所得がある者に該当します。

被保険者に年金以外の多額の収入がある、もしくは被保険者が夫婦でいずれも厚生年金を受給している場合は、一定以上の所得がある者に該当する可能性が高くなります。

2-3. 現役並み所得者:3割

現役並み所得者の自己負担割合は、「医療費の3割」です。現役並み所得者は、下記の条件を満たす方が該当します。

ただし、課税所得が145万円以上であっても、下記のような要件を満たす場合は自己負担割合が1割もしくは2割になるケースがあります。

3. 【後期高齢者医療制度】自己負担割合の見直しが行われた背景

後期高齢者医療制度の自己負担割合の見直しが行われた背景には、後期高齢者の人口増加があります。

後期高齢者の医療費は、公費や窓口負担を除いた残りの約4割が、64歳以下の現役世代の負担によって支えられている構造です。後期高齢者の人口が増えると医療費が増大し、現役世代の負担も大きくなります。近年の日本は、後期高齢者人口が増加傾向にある点が特徴です。

2022年9月時点での日本の総人口1億2,471万人のうち、後期高齢者である75歳以上の人口は1,937万人であり、総人口に占める割合は約15.5%となっていました。

対して、生産年齢人口である15~64歳の人口は7,392万人であり、総人口に占める割合は約59.3%です。

後期高齢者の人口と総人口に占める割合は下記の通りに推移しており、後期高齢者の人口は今後も増加する傾向にあると推測できます。

このような状況の中で、現役世代の負担を少しでも減らし、国民皆保険制度を将来的にも維持するために、後期高齢者医療制度の自己負担割合の見直しが行われました。

(出典:総務省統計局「1.高齢者の人口」/https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html

4. 後期高齢者の窓口負担を軽減するための措置2つ

後期高齢者医療制度の見直しにより、窓口負担が大きくなることに不安を覚える方は多いでしょう。

従来の1割負担から2割負担へと変わる方や、医療費が高額になる方向けに、窓口負担の軽減措置が用意されています。最後に、後期高齢者の窓口負担を軽減するための措置を2つ紹介します。

4-1. 自己負担割合が2割となる方への配慮措置

自己負担割合が2割となる方には、負担増加額が1か月あたり最大3,000円までに抑えられる配慮措置があります。配慮措置の期間は2022年10月から2025年9月30日までです。

配慮措置の期間中に1か月の負担増加額が3,000円を超えた場合、同月中に同じ医療機関で受診すると、それ以降の診療では1割負担分のみを支払うことになります。通常の外来医療の窓口負担の上限額である月18,000円に達した場合は、それ以上の額を窓口で支払う必要はありません。ただし、入院の医療費は対象外である点に注意してください。また、複数の医療機関を受診した場合、1か月の負担増加額を3,000円に抑えるための差額が後日に高額療養費として払い戻されます。

4-2. 高額療養費制度

高額療養費制度とは、医療機関などで同月中にかかった医療費の窓口負担額が上限額を超えた場合に、超えた金額分が払い戻される制度です。

入院など、高額な医療費がかかると事前に分かっているケースでは、「限度額適用認定証」を事前申請しましょう。医療機関に限度額適用認定証を提出すると、窓口負担額が最初から高額療養費制度の上限額までとなります。窓口負担額の上限額は年齢・所得によって決まっています。70歳以上での1か月あたりの自己負担の上限額は、下記の通りです。

後期高齢者医療制度の自己負担割合が2割となる「一定以上の所得がある者」では、外来のみは月18,000円、外来と入院では合わせて月57,600円が上限額です。

まとめ

後期高齢者医療制度は、主に後期高齢者の方を被保険者とする公的医療保険制度です。75歳以上の後期高齢者になると自動的に加入することになります。後期高齢者の医療費の自己負担割合は、世帯ごとの被保険者の人数や所帯によって異なります。「一般所得者」は1割、「一定以上の所得がある者」は2割、「現役並み所得者」は3割です。自己負担割合が2割となる「一定以上の所得がある者」に該当する方は、2022年10月から2025年9月30日までの期間に配慮措置を受けられます。1か月あたりの医療費が高額になる方は、高額療養費制度を活用しましょう。

 

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