幼稚園や保育園に通う年代の子どもを育てている方に、2023年に注意してほしい病気が「ヘルパンギーナ」「RSウイルス感染症」の2つです。
今年はこの2つの感染症が同時流行していて、小さい子どもを中心に感染リスクが高まっています。子どもを育てている方は2つの感染症を詳しく知り、対策も把握しておきましょう。
今回は、今年におけるヘルパンギーナとRSウイルス感染症の流行状況や、それぞれの病気の主な原因と症状、対策方法などを解説します。
目次
1.【2023年】ヘルパンギーナとRSウイルス感染症が同時流行!
1.【2023年】ヘルパンギーナとRSウイルス感染症が同時流行!
まずは、2023年におけるヘルパンギーナとRSウイルス感染症の流行状況を見てみましょう。
- ヘルパンギーナの2023年の流行状況(7月中頃まで)
ヘルパンギーナは、例年では5月から感染の報告数が増加し始めて、7月にピークになり、8月以降は減少するという流行パターンを取っています。
2023年のヘルパンギーナは、4月から報告数が増加し始めて、5月あたりを境に報告数が急増しました。7月はじめには感染が一度ピークに達したと見られ、7月中頃にかけては報告数が減少しています。
しかし、7月中頃の減少している報告数も、例年の同時期と比較してかなり多い数となっており、予断を許さない状況です。
(出典:国立感染症研究所「IDWR感染症週報(2023年第29週(7月17日〜7月23日))」/https://www.niid.go.jp/niid/images/idwr/pdf/latest.pdf)
- RSウイルス感染症の2023年の流行状況(7月中頃まで)
RSウイルス感染症は、例年では7月あたりから報告数が増加し始めて、9月にピークになり、10月以降は減少していくという流行パターンを取っています。
2023年のRSウイルス感染症は、4月から報告数が増加する傾向が見られました。5月からは報告数が急増し、7月はじめには感染が一度ピークに達したと見られます。
以降、7月中頃にかけては報告数が減少しているものの、例年の同時期と比較しても報告数はかなり多くなっています。
(出典:国立感染症研究所「IDWR感染症週報(2023年第29週(7月17日〜7月23日))」/https://www.niid.go.jp/niid/images/idwr/pdf/latest.pdf)
以上のように、2023年のヘルパンギーナとRSウイルス感染症は似たような流行状況を辿っており、同時流行していると言える状況です。
2.そもそもヘルパンギーナ・RSウイルス感染症とは?
「ヘルパンギーナやRSウイルス感染症の名前はよく聞くけど、具体的にどのような病気か知らない」という方も多いでしょう。2つの感染症について簡単に解説します。
- ヘルパンギーナとは?
ヘルパンギーナとは、「発熱」「のどの粘膜に見られる水疱性の発疹」といった症状を特徴とする急性のウイルス性咽頭炎です。ヘルパンギーナという名前は、ドイツ語のヘルペス(水ぶくれ)とアンギーナ(のどの炎症)という2語の組み合わせとなっています。
ヘルパンギーナは、例年6月~8月にかけて乳幼児に流行する傾向があります。手足口病・咽頭結膜熱(プール熱)の2つと合わせて、「子どもの3大夏風邪」と呼ばれることもある病気です。
(出典:国立感染症研究所「ヘルパンギーナとは」/https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/515-herpangina.html)
- RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症とは、「細気管支炎」「肺炎」といった症状を特徴とする急性呼吸器感染症です。RSウイルス感染症のRSは、Respiratory(呼吸器)と Syncytial(合胞体・感染細胞に生じる変化に由来)の頭文字から取られています。
RSウイルス感染症は、例年秋から冬にかけての流行があり、特に乳幼児が感染しやすい病気です。非常に感染力が強く、一度かかると治っても再感染することがあると言われています。
(出典:国立感染症研究所「RSウイルス感染症とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html)
次項からは、それぞれの感染症の原因と症状を詳しく紹介します。
2-1.ヘルパンギーナの主な原因
ヘルパンギーナの主な原因は、エンテロウイルスの中でも「コクサッキーウイルスA群」に感染することです。なお、ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスの型には、他にも「コクサッキーウイルスB群」や「エコーウイルス」などがあります。
ヘルパンギーナの感染経路は、主に下記の3つです。
経口(糞口)感染 | 糞便などで排出されたウイルスが、手指から口に入って感染する |
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接触感染 | 水ぶくれの内容物を含んだ液体に接触することで感染する |
飛沫感染 | ウイルスを含んだ唾液やくしゃみなどの飛沫から感染する |
また、ヘルパンギーナは大人も感染することがある病気です。大人から子どもにうつす可能性もあるので、小さい子どもに接する機会が多い方は注意しましょう。
2-2.RSウイルス感染症の主な原因
RSウイルス感染症の原因は、感染症の名前にもなっている「RSウイルス」が気道に感染することです。
RSウイルスの感染経路としては、主に下記の2つが挙げられます。
接触感染 | 手指や物品に付着したウイルスが、粘膜や傷口に入って感染する |
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飛沫感染 | 咳やくしゃみなどの飛沫に含まれるウイルスから感染する |
特に飛沫感染が多いと言われていて、咳やくしゃみだけではなく、会話をしたときに飛び散る唾液を吸い込むことでも感染します。
また、ヘルパンギーナと同様に、RSウイルス感染症も大人が感染することがある病気です。大人が感染した場合は風邪のような症状であり、RSウイルス感染症にかかったことに気付かず子どもに接して、感染を広げるケースもあります。
2-3.ヘルパンギーナの主な症状
ヘルパンギーナに感染すると、2~4日の潜伏期間を経た後に、突然の発熱が1~3日続きます。発熱したときに熱性けいれんなどを伴うケースもあります。
同時に、のどの痛み・水ぶくれが生じる点もヘルパンギーナの特徴です。口を開くとのどの奥が赤く腫れて、直径1~2mm程度の小さな水ぶくれが多く出現します。
水ぶくれは2~3日程度で破れて黄色い潰瘍が作られます。発熱の症状が終わってからやや遅れて、のどの水ぶくれも消失することが一般的です。
ヘルパンギーナの症状が出ると、食事や飲み物を口にする度にのどに強い痛みを感じます。食事や飲み物を受け付けず、脱水症状を起こす可能性もあります。
2-4.RSウイルス感染症の主な症状
RSウイルス感染症に感染すると、2~8日(典型的には4~6日)の潜伏期間を経た後に、鼻汁などの上気道症状や発熱が現れます。
RSウイルス感染症は、適切な治療を行えば通常で1~2週間で軽快する病気です。
ただし、2歳以下の子どもは上気道症状から下気道症状に進展して、細気管支炎や肺炎を発症するケースがあります。特に1歳未満の乳児や早産の新生児、免疫不全児、呼吸器・循環器に基礎疾患がある乳幼児などは重症化しやすい傾向があり、注意が必要です。
また、RSウイルス感染症を再感染した子どもについては、細気管支炎や肺炎などの下気道症状は起こりにくくなり、上気道症状が増える傾向にあります。
3.ヘルパンギーナとRSウイルス感染症の対策・予防方法
ヘルパンギーナとRSウイルス感染症は、いずれも感染力が強い感染症です。感染をなるべく防ぐには、以下で紹介する日常生活でできる対策・予防方法を実践しましょう。
●うがいをする 咳・くしゃみをしている人と話したときや、帰宅したときには、うがいをしましょう。うがいをすると飛沫感染のリスクを抑えられます。 ●手洗いをきちんと行う 帰宅したときや、おもちゃ遊びをした後などに、手洗いをきちんと行いましょう。手洗いをすると経口感染・接触感染・飛沫感染のリスクを抑えられます。 ●マスクをする マスクは接触感染や飛沫感染のリスクを抑えられる対策です。自分や子どもの感染が疑われるときにも、マスクをすると周囲への感染の広がりを抑えられます。 |
ヘルパンギーナとRSウイルス感染症は、脱水症状や重症化などによる入院のリスクがあります。特に小さい子どもは要注意です。
万が一の事態に備えられるように、治療や入院時の金銭的な保障が得られる保険・共済への加入もおすすめです。
まとめ
2023年は、ヘルパンギーナとRSウイルス感染症が同時流行しています。
ヘルパンギーナは発熱とのどの痛み・水ぶくれの症状が現れる病気で、主な感染経路は経口感染・接触感染・飛沫感染です。RSウイルス感染症の症状は発熱・鼻汁や下気道症状で、主な感染経路には接触感染・飛沫感染があります。
いずれも感染力が強いため、うがい・手洗いなどの予防を実践したり、備えとしての保険・共済への加入を検討しましょう。子どもの感染症に備えられる保険・共済をお探しの方はこちらをご覧ください