スマホは、大人から子どもまで多くの人々が日常的に使うことが多いアイテムです。便利で楽しいアイテムではあるものの、使い方によってはさまざまな症状やデメリットにつながる場合があります。
スマホの使用で起こり得る症状の1つにスマホ依存症があります。ご自身やお子さんがスマホ依存症ではないかと不安になっている方も多いでしょう。
今回は、スマホ依存症の症状と原因、スマホ依存が人々に与える影響について詳しく解説します。予防・改善のポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1.「スマホ依存症」とは?主な症状も
スマホ依存症とは、日常のさまざまなことよりスマホ操作を優先してしまう依存状態です。スマホに没頭するあまり実生活に支障をきたすことが特徴で、自分がスマホに依存していることに気が付いていない人もいます。
スマホ依存症の主な症状は、下記の通りです。
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スマホ依存症になると、スマホを触っている時間が長くなります。何かをしながらのスマホ操作が増え、スマホから離れられなくなることが特徴です。
2.スマホ依存に陥る原因と増加の背景
スマホ依存に陥る原因として、ゲームやSNSなどが挙げられます。
気軽に楽しめるスマホゲームにはのめり込みやすい仕掛けが組み込まれていることが多く、スマホ依存になる人が少なくありません。また、SNSは「すぐにリアクションしなければ」と考えてしまったり、コミュニティが自分の居場所だと感じたりしやすくなります。
最近では、不規則に訪れる通知から2分以内に写真を撮影して投稿するという新しいスタイルのSNSも注目されています。スマホ依存は、若者世代を中心により加速傾向にあると言えるでしょう。
3.スマホ依存が人々に与える影響
スマホ依存は、気持ちが不安になったり無意識にスマホ操作をしたりする以外にも、さまざまな影響を及ぼします。年齢を問わず誰でもスマホ依存になる可能性はあるため、どのような影響があるのか知っておくことが大切です。
ここでは、スマホ依存が人々に与える影響を7つ解説します。
3-1.記憶力の低下
スマホ依存は、記憶力の低下につながる可能性があるため注意が必要です。スマホから得られる情報量が多いと脳疲労が起こりやすくなり、記憶力や集中力に悪影響を及ぼします。
勉強や仕事、食事などをしている途中でスマホ操作をすることは、マルチタスクや情報過多を引き起こす原因になりかねません。
さらに、スマホのアプリを使ってスケジュールやメモをしている場合、デジタル健忘症になる可能性があります。デジタル健忘症とは、スマホなどに情報を保存することで安心してしまい、情報が記憶から抜け落ちてしまう現象です。便利なスマホ機能やアプリも、使い方によってはデメリットとなることがあります。
3-2.睡眠の質の低下
睡眠の質の低下も、スマホ依存による影響の1つです。
スマホに触れる時間が長いと、情報量や画面の明るさで脳が疲弊してなかなか寝付けなくなることがあります。特に寝る前のスマホ操作が習慣となっている場合は、脳が昼と夜を正しく認識できなくなり睡眠リズムが崩れやすくなるため注意しましょう。
寝る時間が遅くなったり夜中に目が覚めたりといった不規則な生活リズムは、集中力の低下や体調不良を引き起こす可能性があります。
3-3.視力の低下
スマホ依存は、視力の低下につながるリスクがあります。
とは言え、「スマホ=視力が低下する」と言うわけではありません。操作時間や使い方が適切であれば、スマホを使っていても視力を保つことができます。
しかし、スマホ依存になると同じ距離で長時間画面を見続けたり、悪い姿勢でスマホ操作したりすることが増えるため、視力が低下しやすくなります。
また、長時間スマホの画面を見続けることは眼精疲労やドライアイの原因の1つです。目の疲れや乾燥感がある場合は、スマホの使い方を見直しましょう。
3-4.自身の喪失
スマホ依存が原因で自信の喪失につながることもあります。
SNSに投稿されている他人のプライベートな内容と自分の環境や状況を比較して、劣等感や嫉妬を覚える人も少なくありません。SNSの投稿内容はすべてが真実とは限らないにもかかわらず、つい比較して気持ちが落ち込んでしまう人が多く見られます。
スマホの情報だけを見て、すべてを知っているような気持ちになってしまうことも特徴です。精神衛生面に大きな影響を及ぼすため、スマホやSNSとは適度な距離感を保つことが大切です。
3-5.コミュニケーション能力の低下
スマホ依存になると、コミュニケーション能力が低下する場合があります。
コミュニケーションは、表情や声で気持ちや考えを伝えることです。動画視聴やSNSの投稿を見るだけでは、情報が一方通行でコミュニケーションを取ることができません。
オンライン上で気軽にやり取りすることもできますが、直接会っているわけではないためどうしてもコミュニケーションが不足してしまいます。人と対話をする機会が少ないと、コミュニケーション能力が低下してしまうことを理解しておきましょう。
3-6.ストレートネック・猫背
スマホ依存は、姿勢にも悪影響を与えます。
スマホを見る姿勢は前かがみや下を向くことが多く、ストレートネックになってしまいます。ストレートネックとは、首の骨がまっすぐな状態になることです。正常な首の骨は緩やかなS字を描いてカーブしており、頭の重さを分散しています。ストレートネックは、肩こりや頭痛など体調不良の原因の1つです。
また、背中が丸まってしまうことが多く、猫背になりやすいと言われています。姿勢が悪いと見た目が悪くなるだけでなく、肩こりや腰痛を招きやすくなるため要注意です。
3-7.「ながら運転」による事故
スマホ依存になると、ながら運転による事故のリスクも高まります。
近年では、「スマホ操作しながら車を運転する」「スマホゲームをしながら自転車に乗る」など、ながら運転が原因で起こる事故が多発しています。スマホの音や画面に気を取られると、運転がおろそかになるため危険です。
スマホ操作をしながら歩いて他者にぶつかったり、駅のホームから落下したりといった事故も増えています。運転だけでなく歩きスマホも危険につながるため注意しましょう。
4.子どものスマホ依存症を予防・解決するためのポイント
スマホ依存症の予防や解決のために、突然スマホを手放すのは逆効果です。特に子どもの場合は、無理やり取り上げると信頼関係を失ったりイライラして暴力的になったりすることもあるため危険です。
自分自身のスマホ依存を解決したい場合は、周囲に協力してもらいつつスマホとの向き合い方を見直しましょう。
ここからは、子どものスマホ依存症を予防・解決するためのポイントを3つ解説します。
4-1.家庭内でスマホの使用ルールを定める
スマホに触れる時間を少しずつ減らせるように、まずは家庭内での使用ルールを定めましょう。ただし、一方的に時間を制限するのではなく、お子さんと話し合って本人が納得した上でルールを設けることがポイントです。
「夜のスマホは20時まで」「食事中はスマホを操作しない」など、小さな目標から始めて成功体験を積み重ねていきましょう。
4-2.スマホ以外の趣味や楽しさを見つけさせる
スマホに触れない時間を作ると、何をして過ごせばいいのか困る子どももいます。スマホのことを考えずに済むように、趣味や楽しいと感じる何かを見つけさせることも大切です。
例えば、「一緒に料理をする」「スポーツをする」など、現実の世界にも楽しいことや居場所があることが分かれば、スマホとの向き合い方も変わってきます。
4-3.医師に相談し適切な治療を受ける
脳の成長には、豊かな体験や人とのコミュニケーション、学習などが必要不可欠です。お子さんがすでにスマホ依存症になっていると感じる場合は、早めに医師に相談して適切な治療を受けましょう。
スマホ依存症になると自分でスマホを使いたい欲求を抑えることが難しくなります。専門医師にサポートしてもらい、問題の根本的な解決を目指しましょう。
まとめ
スマホが普及している現代において、「たかがスマホ依存」と考える人も少なくありません。しかし、スマホ依存症は日常生活に支障をきたしたり他者を巻き込んで事故を起こしたりすることもあります。
状態によっては、病院での治療が必要となる場合もあります。心や身体の健康を保つためにも、スマホとの向き合い方は家族で真剣に考えましょう。