2024/8/26(最終更新日)

妊娠・出産・育児中にもらえるお金11選|各経済支援制度の詳細も解説

出産育児に役立つ経済支援制度はさまざまあります。お金に関する不安を軽減するには、妊娠・出産・育児のタイミングでもらえる助成金や給付金について知識を深めておくことが大切です。

今回は、妊娠中から育児中までそれぞれのタイミングで受けられる経済支援制度について解説します。制度対象者や支給額も詳しく説明するため、ぜひ参考にしてください。

目次

1.妊娠中に受けられる経済支援制度3選

1-1.妊婦健康診査費の助成

1-2.出産・子育て応援給付金

1-3.傷病手当金

2.出産時に受けられる経済支援制度2選

2-1.出産育児一時金

2-2.出産手当金

3.育児中に受けられる経済支援制度4選

3-1.育児休業給付金

3-2.出生時育児休業給付金

3-3.児童手当

3-4.児童扶養手当

4.妊娠・出産・育児中に適用されるその他制度2選

4-1.医療費控除

4-2.高額療養費制度

まとめ

1.妊娠中に受けられる経済支援制度3選

 

妊婦健康診査費の助成や妊娠が理由で働けなくなった場合の支援など、妊娠中に受けられる支援制度はさまざまあります。制度対象者を確認した上で、支援制度を積極的に活用しましょう。

ここでは、妊娠中に受けられる経済支援制度を3つ紹介します。

1-1.妊婦健康診査費の助成

各自治体では、妊婦健康診査費の助成を行っています。各自治体の支援を受けて妊娠中にかかるお金の負担を軽減しましょう。

妊婦健康診査費の助成の概要は、下記の通りです。

制度対象者

区市町村に妊娠届を提出した妊婦さん

助成額

約100,000円


区市町村に妊娠届を提出すると妊婦健康診査の受診票が交付されます。病院で受診票を提出すると、検査費用の一部が助成される仕組みです。

助成額は各自治体により異なるものの、約100,000~120,000円とする自治体が多く見られます。

(出典:東京都福祉局「妊娠がわかったら」/https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/kenkou/syussan.html

(出典:厚生労働省「00報道発表資料(R4・R2.4公費負担状況)」/https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000552443.pdf

1-2.出産・子育て応援給付金

出産・子育て応援交付金は、妊婦さんや子育て中の家庭に寄り添ったサポートを目指す伴走型の相談支援制度です。

2023年1月から事業を開始した新しい支援制度で、妊娠中から低年齢期の子育て期間を対象としています。

出産・子育て応援交付金の概要は、下記の通りです。

制度対象者

区市町村に妊娠届を提出した妊婦さん

支給額

50,000円相当のクーポン券


クーポン券は、子育て関連用品などに使用できます。クーポン券の支給だけでなく、両親学級や産前・産後ケアなどニーズに応じた支援も充実しています。

(出典:こども家庭庁「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)」/https://www.cfa.go.jp/policies/shussan-kosodate/

1-3.傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガなどで仕事を休む被保険者の生活を保障するための制度です。加入している健康保険から最長で1年6か月間支給されます。

傷病手当金の概要は、下記の通りです。

制度対象者

療養のため会社を休んでいる妊婦さん

支給額

支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3


つわりや切迫早産などで療養のために会社を休んでいる妊婦さんは、傷病手当金の対象です。ただし、職場復帰を予定している場合に限ります。傷病手当の申請には、勤務先や医師からの証明が必要です。

(出典:全国健康保険協会「傷病手当金|こんな時に健保」/https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/

(出典:全国健康保険協会「メールマガジン第131号(4.11.5)|都道府県支部」/https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/hokkaido/cat130/20221105/

2.出産時に受けられる経済支援制度2選


出産時に受けられる支援制度には、「出産育児一時金」「出産手当金」の2つがあります。出産には分娩費用や入院費用がかかるため、活用できる支援制度は忘れずに手続きを済ませておきましょう。

ここでは、出産時に受けられる経済支援制度についてそれぞれ詳しく解説します。

2-1.出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険から出産した方に支払われるお金です。出産費用に充てたい場合は、直接支払制度を選択して直接病院に支払うこともできます。

出産育児一時金の概要は、下記の通りです。

制度対象者

妊娠4か月目以上で出産した方

支給額

1児につき500,000円


ただし、産科医療補償制度に加入していない病院で出産した場合や在胎週間数が22週未満で分娩した場合は、支給額が488,000円となります。

(出典:全国健康保険協会「子どもが生まれたとき|こんな時に健保」/https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3280/r145/

2-2.出産手当金

出産手当金は、産休で給料が支払われない期間がある場合に健康保険から支給されるお金です。出産する方の収入に応じて支給額は異なります。

出産手当金の概要は、下記の通りです。

制度対象者

  • 産休後に職場復帰する予定の方
  • 妊娠4か月以降に出産した方

支給額

支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3×産休取得日数


勤務先の健康保険に加入している場合、正社員に限らず契約社員やパート・アルバイトの方も支給対象です。

(出典:全国健康保険協会「出産手当金について|よくあるご質問」/https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311/

3.育児中に受けられる経済支援制度4選

 

妊娠中や出産時だけでなく、育児中に受けられる支援制度もさまざまあります。子育ては身体への負担だけでなくお金もかかります。子育ての不安を軽減するためにも、育児中に受けられる支援制度はフル活用しましょう。

ここでは、育児中に受けられる経済支援制度を4つ紹介します。

3-1.育児休業給付金

出産後に育児休業を取得する場合、雇用保険から育児休業給付金が支払われます。育児休業の取得は、身体的な負担や仕事への心配を軽減できることが大きなメリットです。

育児休業給付金の概要は、下記の通りです。

制度対象者

  • 育児休業を取得している方
  • 育児休業中に勤務先から月給の8割以上の給料を受け取っていない方

支給額

<育休180日目まで>

休業開始前の給料×67%

<育休180日目以降>

休業開始前の給料×50%


育児休業は、基本的に赤ちゃんが1歳になるまで取得できます。女性だけでなく男性が育児休業を取得することも可能です。

(出典:厚生労働省「育児休業給付について」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html

3-2.出生時育児休業給付金

出生時育児休業給付金は、男性が子どもを養育するために出生時育児休業を取得した場合に支給されるお金です。男性が対象となることから「産後パパ育休」とも呼ばれています。

出生時育児休業給付金の概要は、下記の通りです。

制度対象者

出生時育児休業を取得する男性

支給額

休業開始前の給料×67%


出生時育児休業を取得している間でも、条件次第では育児の合間に仕事をすることも可能です。ただし、出生時育児休業の取得は、子どもの出生後8週間以内と定められています。

(出典:厚生労働省「育児休業産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_r02_01_04.pdf

3-3.児童手当

児童手当は、0歳から中学3年生までの子どもがいる家庭に支給されるお金です。子どもの年齢によって支給される金額が異なります。

児童手当の概要は、下記の通りです。

制度対象者

0歳から中学3年生までの子どもを養育している方

助成額

<3歳未満の子ども>

  • 1人あたり月額15,000円

<3歳~小学校終了前の子ども>

  • 第1子と第2子は1人あたり月額10,000円
  • 第3子以降は1人あたり月額15,000円

<中学生の子ども>

  • 1人あたり月額10,000円


児童手当には所得制限が設けられています。支給を受けるには、各市区町村に認定請求書の提出が必要です。

(出典:内閣府「児童手当制度のご案内:子ども・子育て本部」/https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html

3-4.児童扶養手当

児童扶養手当は、ひとり親家庭に支給されるお金です。ひとり親家庭の子どもの生活が安定することや自立の促進を目的としています。

児童扶養手当の概要は、下記の通りです。

制度対象者

18歳までの子どもを養育している方

(18歳になった年度末まで対象)

助成額

<全額支給の場合>

  • 月額44,140円

<一部支給の場合>

  • 月額10,410~44,130円


子どもが複数人いる場合は、基準に沿って支給額が加算されます。受給者の所得や子どもの人数によって支給額は異なるため、詳細は各市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。

(出典:厚生労働省「児童扶養手当について」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100526-1.html

4.妊娠・出産・育児中に適用されるその他制度2選

妊娠から子育てまでの間に、入院や手術などが必要になる可能性もあります。紹介した支援制度の他にも、妊娠・出産・育児中に適用される制度があるため、万が一に備えて理解を深めておきましょう。

最後に、妊娠から子育てまでに適用されるその他の制度を2つ紹介します。

4-1.医療費控除

医療費控除とは、高額の医療費を支払った場合に受けられる所得控除です。妊娠や出産以外の医療費も対象となるため、家族全員にかかった医療費を合計して申告できます。

医療費控除の概要は、下記の通りです。

制度対象者

1年間に100,000円以上の医療費を支払った方

控除額

実際に支払った医療費-100,000円-保険金などで補てんされる金額


医療費控除の申告は、自身で確定申告する必要があります。生計を一緒にしている家族のうち税金を支払っている方であれば誰でも申告が可能です。

(出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

4-2.高額療養費制度

高額療養費制度は、1か月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に払い戻しができる制度です。払い戻しには診療月から3か月以上かかるため、「高額医療費貸付制度」の利用も検討しましょう。

高額療養費制度の概要は、下記の通りです。

制度対象者

  • 1か月の医療費が自己負担限度額を超えた方
  • 健康保険に加入している方と被扶養者

支給額

実際に支払った医療費-自己負担限度額


自己負担限度額は年齢や所得状況により異なります。自己負担額は同じ世帯であれば複数人の医療費を合算できます。

(出典:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき|こんな時に健保」/https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

まとめ

出産から子育てにはまとまったお金が必要です。妊娠中・出産時・育児中に受けられる経済支援制度は数多くあるため、活用できる支援制度の情報を集めておきましょう。

時間や体力に余裕があるうちに制度について知識を深めておくことで、慌てることなく支援制度を活用できます。無事に出産の日を迎えられるように、使える制度を積極的に活用してお金に関する不安を軽減しておきましょう。

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