近年、子どもから大人まで幅広い世代でアレルギーに悩む方が増えています。アレルギーを引き起こす食物や物質はさまざまあり、すでに症状を自覚している方もいれば発症していないだけの方もいます。
「アレルギー体質かもしれない」「特定の食物を口にすると体調が悪くなる」と悩んでいるひとは、まずはアレルギー検査を受けることが大切です。
今回は、アレルギー検査の種類と費用について解説します。アレルギーの症状と治療法にも触れるため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. アレルギー検査とは?主な3つの種類も紹介!
アレルギー反応を防いだり症状を抑えたりするには、アレルゲンの特定が必要です。
しかし、アレルギーの原因となるアレルゲンは数多く存在するため、自己流で特定するのは難しいと言えるでしょう。アレルゲンの特定には、血液採取によるアレルギー検査が効果的です。
アレルギー検査は、次の3種類に分けられます。
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種類によって検査できるアレルゲンの項目数が異なります。アレルギー検査の種類は、疑われるアレルゲンに合わせて選ぶケースが一般的です。
ここでは、それぞれのアレルギー検査の概要と検査できる項目内容を解説します。
1-1. 種類(1)MAST36
MAST36は、36項目のアレルゲンを検査する方法です。検査できる項目ジャンルは、下記の3つが挙げられます。
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植物系には、卵白・牛乳・小麦・大豆などが含まれています。季節性は、スギ・ヒノキ・ブタクサなどの花粉のアレルゲンを判定できます。通年性は、ハウスダスト・コナヒョウダニ・犬猫など身近なアレルゲンが対象です。
MAST36を用いることで、加工食品への表示が義務づけられている特定原材料7品目をすべて検査できます。アレルゲンに心当たりがない場合や医師の見立てでアレルゲンの予想ができている場合は、MAST36で検査をするケースが多く見られます。
1-2. 種類(2)MAST48mix
MAST48mixは、MAST36の検査項目にミックス項目を6つ追加した検査方法です。
ミックス項目とは、複数のアレルゲンを混ぜたものです。ミックス項目が陰性であれば、アレルゲン混合物すべてにアレルギー反応が起こらないことを意味します。陽性の場合は、アレルゲン混合物のいずれかにアレルギー反応を示していると判断できます。
ミックス項目の詳細は、下記の通りです。
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アレルゲンの心当たりがまったくない場合や医師にも見当がつかない場合は、MAST48mixで検査をします。ミックス項目が陽性の場合は、個別の項目でアレルギー検査が必要です。
1-3. 種類(3)VIEW39
VIEW39は、39項目のアレルゲンを検査できる方法です。
MAST36と検査項目は大きく共通しているものの、VIEW39のほうがやや項目数が多いほか、VIEW39とMAST36はそれぞれ独自の検査項目が設けられています。
VIEW39にあってMAST36にはない項目は、下記の通りです。
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MAST36やMAST48mixには含まれていない果物や昆虫なども調べられます。認知度が高まっている項目が含まれていることが特徴です。
ただし、MAST36やMAST48mixで調べられるトマト・桃・コナヒョウヒダニは、VIEW39に含まれていないため注意しましょう。
2. アレルギー検査の費用相場
MAST36・MAST48mix・VIEW39は、いずれもアレルギー症状があり医師が検査を必要と判断した場合は保険適用の対象です。
アレルギー検査の費用は、種類を問わず5,000円程度かかります。とは言え、医療機関によって多少の差があり、安いところであれば4,000円台、高いところでは6,000円以上することもあるでしょう。
また、上記に示したアレルギー検査の費用相場は「3割負担」が適用された場合の金額です。無症状でアレルギー検査を受ける場合は自費となることに注意しておきましょう。
さらに、実際にアレルギー検査をする場合は、検査費用だけでなく診察料もかかります。アレルギー症状を抑える薬などが出される場合は、処方箋発行料も加算されることを理解しておきましょう。
加えて、「RAST」で調べる項目の数によっても費用は変動します。RASTとは、項目を選択して検査する方法です。3割負担の場合、1項目につき約330円かかります。
上記の内容を踏まえ、アレルギー検査にかかるトータル費用相場は3割負担で「約5,000~7,000円」、自費で「約17,000~24,000円」と言えます。
3割負担 | すべて自費 | |
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検査費用 | 約4,000~6,000円 | 約13,000~20,000円 |
診察料 | 約900円 | 約3,000円 |
「RAST」1項目追加 | 約330円 | 約1,100円 |
合計 | 約5,000~7,000円 | 約17,000~24,000円 |
3. そもそもアレルギーとは?
そもそもアレルギーとは、アレルゲンが体内に入り込んで免疫機能が過剰反応することです。自然界に存在する物質にも反応するため、食事だけでなく日常生活でもアレルギー症状が出てしまうことがあります。
アレルギーがある方は、抗体の1つである「IgE」を遺伝的に作りやすい体質であることが特徴です。IgEが体内で増えると、アレルゲンに対して過剰に反応してしまいます。
ここからは、アレルギーの主な症状と治療方法を解説します。
3-1. 主な症状
アレルギーの主な症状は、次の通りです。
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アレルギーの症状は、皮膚や粘膜に出ることが多く、体調が悪かったり皮膚のバリア機能が低下していたりすると悪化しやすくなります。
また、アレルゲンとなる食物を摂取すると、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため注意しましょう。
3-2. 治療法
アレルギーには、根本的な治療方法がありません。アレルギー症状が出た場合は、対処療法で症状を抑えます。
主な対処療法は、下記の通りです。
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アレルギー症状を抑える薬は、医療機関を受診して必要と判断された場合に処方されます。アナフィラキシーのリスクがある場合は、アドレナリン自己注射製剤が処方されることもあります。
また、アレルギーを防ぐためには、アレルゲンを避けて生活することも大切です。「アレルゲンの食物を口にしない」「花粉や犬猫などのアレルゲンに近づかない」など、普段から意識して生活しましょう。
4. アレルギー検査に関するよくある質問(Q&A)
以下では、アレルギー検査に関するよくある質問について説明します。
Q1:アレルギー検査は何科で受けられる? |
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アレルギー検査の可否は、医療機関によって異なります。皮膚科・内科・耳鼻咽喉科であれば受けられる可能性が高いため、事前に相談してみましょう。 アレルギー症状が出ている部分を診察できる医療機関を選ぶことで、診察と薬の処方がスムーズになります。 |
Q2:大人と子どもでアレルギー検査に違いはある? |
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子どもの年齢によっては、血液採取によるアレルギー検査ができない場合もあります。特に乳幼児の採血は難しく、精度が低くなりやすいことが特徴です。 小さな子どもの場合は、皮膚テストや小児食物負荷検査などでアレルギーの有無を調べるケースが一般的です。 子どものアレルギー検査を希望する場合は、小児科やアレルギー科がある医療機関に相談してみましょう。 |
アレルギー検査に関する不安や疑問がある場合は、検査を受ける前に医師にしっかり確認しておきましょう。
まとめ
血液採取によるアレルギー検査には、MAST36・MAST48mix・VIEW39の3種類があります。検査できる項目数や内容には多少の差があり、必要に応じて検査方法を選択します。項目を追加して検査するRASTという方法の組み合わせも可能です。
アレルギー検査自体の費用相場は、3割負担で約5,000円です。症状が出ていない場合は自費になるため、検査費用が高額になる可能性があります。アレルギーの心配がある方は、ひとまず医療機関を受診してアレルギー検査を受けてみましょう。