2024/3/4(最終更新日)

脱炭素とカーボンニュートラルの違い|主な取り組みと関連用語も

脱炭素とカーボンニュートラルは、環境問題の対策として近年注目を集めているキーワードです。日常生活や仕事において、脱炭素・カーボンニュートラルを意識する方も多いのではないでしょうか。

脱炭素とカーボンニュートラルは同じ意味で捉えられる場面が多いものの、実際には違いがあります。環境問題に関心がある方は、2つの言葉の違いを正しく理解するとよいでしょう。

今回は脱炭素とカーボンニュートラルの意味と違いを説明した上で、日本における主な取り組みと関連用語を紹介します。

目次

1.脱炭素とは?

2.カーボンニュートラルとは?

3.脱炭素とカーボンニュートラルの違い

4.脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向けた日本の取り組み

4-1.再生可能エネルギーの活用

4-2.グリーン成長戦略

4-3.カーボンリサイクル技術ロードマップ

5.脱炭素とカーボンニュートラルの関連用語5つ

5-1.低炭素

5-2.脱炭素ドミノ

5-3.ゼロカーボン

5-4.カーボン・オフセット

5-5.カーボンネガティブ

まとめ

1.脱炭素とは?


脱炭素とは、二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにすることです。

また、脱炭素を目指す取り組みは「脱炭素化」と総称され、脱炭素化などによって実質的に二酸化炭素の排出量ゼロを達成した社会は「脱炭素社会」と呼ばれます。

脱炭素が二酸化炭素の排出量に着目する理由は、二酸化炭素が代表的な温室効果ガスであり、二酸化炭素の増加は地球環境へのさまざまな悪影響を及ぼすためです。悪影響の例を挙げると、地球の平均気温上昇や、気温上昇に伴う異常気象の発生、海水面の上昇、氷河の融解などがあります。

二酸化炭素の排出量をゼロにして地球環境の破壊を抑え、気候変動などの影響を最小限に留めることが脱炭素社会の目的です。

2.カーボンニュートラルとは?


カーボンニュートラルとは、二酸化炭素も含めた温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることです。

カーボンニュートラルの取り組みは、温室効果ガスの排出量そのものを減らすと同時に、排出した温室効果ガスをさまざまな方法で吸収・除去します。実際の排出量から吸収量を差し引いた結果がゼロになっていれば「排出量が実質ゼロ」になるという考え方です。

カーボンニュートラルの考え方は、2015年のCOP21(国連気候変動枠組み条約締約国会議)で採択された「パリ協定」によって広く知られるようになりました。

パリ協定は、地球の平均気温上昇の抑制を世界全体における長期目標として掲げています。温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする取り組みにより、地球の平均気温上昇を抑制することがカーボンニュートラルの目的です。

3.脱炭素とカーボンニュートラルの違い

脱炭素とカーボンニュートラルは、そもそもの意味が異なります。

脱炭素

二酸化炭素の排出量をゼロにすること

カーボンニュートラル

温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること

脱炭素は二酸化炭素に焦点を当てて排出量ゼロを目指すのに対し、カーボンニュートラルは二酸化炭素も含めた温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指します。

参考として、カーボンニュートラルの対象となる温室効果ガスは下記の7種類です。

【温室効果ガスの種類】

  • 二酸化炭素
  • メタン
  • 一酸化二窒素
  • ハイドロフルオロカーボン類
  • パーフルオロカーボン類
  • 六フッ化硫黄
  • 三フッ化窒素

また、脱炭素とカーボンニュートラルは排出量ゼロを目指すプロセスにも違いがあります。脱炭素は排出量そのものをゼロにするのに対し、カーボンニュートラルでは排出量と吸収量の差し引きをゼロにする点が特徴です。

そのため、脱炭素の取り組みは排出量の削減が中心であり、一方でカーボンニュートラルでは排出量削減と吸収のための取り組みが行われています。

4.脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向けた日本の取り組み


現代の経済活動・ライフスタイルは、二酸化炭素を含む温室効果ガスを大量に発生させるものとなっています。脱炭素・カーボンニュートラルを実現するにはさまざまな取り組みが必要です。

ここでは、脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向けた日本の代表的な取り組みを3つ紹介します。

4-1.再生可能エネルギーの活用

事業活動による使用電力を再生エネルギーで100%賄う「RE100」という取り組みが、さまざまな企業により行われています。

再生可能エネルギーとは、石油・石炭のように有限な資源ではなく、太陽光・風力・バイオマスなどの永続的に利用できる資源のことです。再生可能エネルギーには二酸化炭素を増加させないという特徴があり、活用によって脱炭素・カーボンニュートラルの実現に貢献できます。

(出典:環境省「環境省RE100の取組」/https://www.env.go.jp/earth/re100.html

4-2.グリーン成長戦略

日本は2020年10月、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた産業政策・エネルギー政策として「グリーン成長戦略」を定めました。

グリーン成長戦略とは、カーボンニュートラルの実現に必要な対応を成長の機会として捉え、産業活動の変革を進めようとする取り組みのことです。政府は成長が期待される14分野のそれぞれについて具体的な目標と実行計画を策定し、企業の前向きな挑戦を後押しすることで経済と環境の好循環を目指しています。

(出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」/https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

4-3.カーボンリサイクル技術ロードマップ

経済産業省は、カーボンリサイクル技術にかかわる研究開発や事業化の加速を目的として、2019年に「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定しました。2021年には取り組みの進展や関連する動向を踏まえたロードマップ改訂も行われています。

カーボンリサイクルとは、産業活動で排出される二酸化炭素を資源として捉え、再利用することにより二酸化炭素の排出抑制につなげる取り組みです。2021年に改訂されたロードマップでは、カーボンリサイクルの拡大を10年区切りで3つのフェーズに分けて、各フェーズにおける具体的な内容や目標を定めています。

(出典:資源エネルギー庁「カーボンリサイクル技術ロードマップについて」/https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/carbon_recycling/tech_roadmap.html

5.脱炭素とカーボンニュートラルの関連用語5つ


脱炭素・カーボンニュートラルの取り組みでは、二酸化炭素の排出などにかかわるさまざまな関連用語が登場します。環境問題への理解をより深めたい方は、関連用語についても意味を知っておくとよいでしょう。

最後に、脱炭素とカーボンニュートラルの関連用語を5つ紹介します。

5-1.低炭素

低炭素とは、二酸化炭素の排出量をできるだけ抑えることです。

低炭素を目指す社会は「低炭素社会」と呼ばれます。2015年に採択されたパリ協定以前は、二酸化炭素の排出量を抑える低炭素社会の実現が国際社会における目標とされていました。

しかし、二酸化炭素の排出による環境への悪影響や気候変動の進行が科学的に明らかになり、国際社会の目標は低炭素社会から脱炭素社会の実現へと進められています。

5-2.脱炭素ドミノ

脱炭素ドミノとは、脱炭素社会のモデルケースとして「脱炭素先行地域」をつくり、周辺地域へと波及させて将来的には日本全国に広げるという考え方です。

脱炭素ドミノは政府の「地域脱炭素ロードマップ」内で提唱されており、2030年度までに少なくとも100か所以上の脱炭素先行地域をつくることが示されています。

(出典:内閣官房「国・地方脱炭素実現会議」/https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/index.html

地域脱炭素ロードマップでは、脱炭素ドミノによって2050年を待たずに脱炭素社会を全国で実現することを目標としています。

5-3.ゼロカーボン

ゼロカーボンとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引き、全体として排出量をゼロにすることです。「カーボンニュートラル」と同義であるとされています。

ゼロカーボンという用語は、2050年の二酸化炭素排出実質ゼロに取り組むことを表明した地方自治体を指す「ゼロカーボンシティ」などで使われています。

(出典:環境省「地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況」/https://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html

5-4.カーボン・オフセット

カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動を行う上で避けられない温室効果ガスの排出について、別の場所や取り組みで埋め合わせるという考え方です。

例を挙げると、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー発電システムの導入や、森林管理への投資がカーボン・オフセットに該当します。

また、カーボン・オフセットの取り組みとしては、国内における温室効果ガスの排出削減活動や吸収量を認証する「J-クレジット制度」があります。

(出典:J-クレジット制度「J-クレジット制度について」/https://japancredit.go.jp/about/outline/

5-5.カーボンネガティブ

カーボンネガティブとは、経済活動による温室効果ガスの排出量が、森林などによる吸収量を下回っている状態のことです。

温室効果ガス排出量の実質ゼロを目標とするカーボンニュートラルと比べて、一層の排出量削減を目指すカーボンネガティブは一歩進んだ取り組みと言えます。

カーボンネガティブの同義語には、温室効果ガスの排出量よりも吸収量が上回っている状態を指す「カーボンポジティブ」があります。

まとめ

脱炭素は「二酸化炭素の排出量をゼロにする」ことです。一方、カーボンニュートラルは「温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引き、全体として排出量をゼロにする」ことを指します。

脱炭素・カーボンニュートラルの実現は国際的な目標となっており、日本においても実現に向けたさまざまな取り組みが行われています。

地球の環境保全や持続可能な社会の構築には、脱炭素・カーボンニュートラルの取り組みが重要です。環境問題に関心がある方は、脱炭素・カーボンニュートラルの取り組みにもぜひ意識を向けてみてください。

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