2024/4/19(最終更新日)

子どもも花粉症になる?大人との症状の違いと予防方法も解説!

花粉症は国民の約4割が発症している症状であり、子どもの有病率も年々増加傾向にあります。鼻づまりや目のかゆみといった症状から、わが子が花粉症を発症したのではと疑っている保護者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、子どもの花粉症の現状や主な症状、花粉症が子どもに与える日常生活への影響について解説します。子どもの花粉症の治療方法や予防方法も併せて確認し、花粉症の季節をなるべく快適に過ごせるよう対策を整えましょう。

目次

1. 子どもの花粉症は増加傾向にある

2. 子どもの花粉症の主な症状|大人の花粉症との違いは?

2-1. 鼻づまり

2-2. 鼻のかゆみ

2-3. 目のかゆみ・充血・むくみ

3. 子どもの花粉症が与える日常生活への影響

4. 子どもの花粉症の治療方法

5. 子どもの花粉症の予防方法

まとめ

1.子どもの花粉症は増加傾向にある

日本におけるアレルギー性鼻炎の有病率は年々増加傾向にあり、特にスギ花粉症をはじめとする花粉症は20年前と比較して大幅に増加しています。この傾向は子どもも例外ではありません。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会の調査によると、年齢層別のアレルギー性鼻炎の内訳、およびスギ花粉症有病率の推移は下記の通りになっています。

【アレルギー性鼻炎の内訳(2019年)】

 

スギ花粉症

スギ以外の花粉症

通年性アレルギー性鼻炎

0~4歳

3.8%

2.6%

5.1%

5~9歳

30.1%

17.4%

20.9%

10~19歳

49.5%

33.8%

38.5%


(出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会「鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較): 速報―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として―/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/6/123_485/_pdf/-char/ja

【子どものスギ花粉症有病率の推移(年齢層別)】

 

1998年

2008年

2019年

0~4歳

1.7%

1.1%

3.8%

5~9歳

7.5%

13.7%

30.1%

10~19歳

19.7%

31.4%

49.5%


(出典:アレルギーポータル「アレルギー性鼻炎ガイド2021年度版」/https://allergyportal.jp/documents/bien_guide_2021.pdf

上記のデータから、子どものスギ花粉症有病率は20年間で大幅に増加していることが分かります。0~4歳では、アレルギー性鼻炎のうち通年性アレルギー性鼻炎の有病率が最も高いものの、スギ花粉症を発症している子どもも少なくないことを押さえておきましょう。

また、5~9歳では3人に1人、10~19歳の2人に1人がスギ花粉症であると示されています。この有病率は大人の有病率と大きく変わらないことから、花粉症は子どもにとっても珍しい病気ではないと言えるでしょう。

2.子どもの花粉症の主な症状|大人の花粉症との違いは?

子ども、特に幼児は保護者や医師などに対して自身の症状をうまく伝えるのが難しい上に、子ども自身が「花粉症かどうか」を疑うこともほとんどありません。花粉症の症状を放置してしまわないためにも、親などの保護者がしっかりと様子を観察することが大切です。

大人の花粉症の主な症状には鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどがありますが、子どもの場合は症状の出方が大人と異なるケースも少なくありません。ここでは、子どもの花粉症の主な症状について解説します。大人の症状との違いを確認し、子どもの花粉症の症状を見逃さないよう注意しましょう。

2-1.鼻づまり

大人の花粉症では「くしゃみが止まらない」「サラサラした鼻水が出る」といった症状がよく見られます。一方、子どもの場合は粘り気のある鼻水が出やすいため、くしゃみよりも鼻づまりが起こりやすいことに注意しましょう。

花粉症による鼻づまりが起こると、鼻で呼吸することが難しくなるため口呼吸の頻度が高くなります。「口呼吸が多くなった」「いびきが増えた」といった変化が見られる場合は、花粉症の疑いがあるため注意深く観察してください。

2-2.鼻のかゆみ

大人の花粉症と同様に、子どもの花粉症でも鼻のかゆみが生じます。鼻をかいたり、鼻や口をもごもごと動かして刺激したりする機会が多くなった場合は、花粉症による鼻のかゆみが生じている可能性を考えて経過を観察するようにしましょう。

また、鼻を指で頻繁にいじるなど、鼻に強い刺激を与えすぎて鼻血が出るケースも少なくありません。鼻血が出ることに思い当たる原因がない場合は、花粉症が間接的な原因となっている可能性も考慮することが大切です。

2-3.目のかゆみ・充血・むくみ

子どもは大人よりも花粉症による目の症状が出やすいと言われています。目のかゆみが強く出た場合は目のまわりを頻繁にこするようになるため、目をこする頻度が高まっていないか観察することがポイントになります。

また、目のまわりをかいている姿を確認できない場合でも、目の充血や目のまわりのむくみが見られるケースも少なくありません。このような症状が現れている場合は花粉症の可能性があるため、様子を観察した上で適切な対応をとることが大切です。

3.子どもの花粉症が与える日常生活への影響

子どもの花粉症を放置すると、花粉症の症状によって日常生活に下記のような影響が出る恐れがあります。生活の質の低下や健康状態の悪化を引き起こす可能性もあるため、十分に注意する必要があるでしょう。

●注意力・集中力の低下

花粉症によって鼻づまりが生じると、夜に十分眠れなくなる恐れがあります。睡眠の質が低下すると日中に眠気を感じやすくなり、結果として注意力や集中力が低下しやすくなることに注意しましょう。また、注意力や集中力の低下により、ストレスやイライラを感じる機会が増えるなどのケースも多く見られます。


●花粉以外のアレルギー症状の誘発

花粉症によって鼻の粘膜が過敏になることで、その他のアレルギー症状が引き起こされる可能性も少なくありません。


誘発されるアレルギー症状は個人によって異なりますが、例えばスギ花粉症を放置すると、ヒノキなど別の植物の花粉アレルギーを発症する場合があります。また、食物アレルギーや寒暖差によるアレルギーなど、花粉以外のアレルギーが出る可能性があることにも注意してください。


4.子どもの花粉症の治療方法

子どもに花粉症と思われる症状が出た場合、日常生活への影響をなるべく抑えるためにも、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。かかりつけの小児科や、アレルギー科などで相談してみましょう。鼻づまりや目のかゆみなど、特定の部位に強い症状が出ている場合は耳鼻咽喉科や眼科の受診もおすすめです。

子どもの花粉症の治療は、大人と同様に発症を抑えたり症状を和らげたりする「対症療法」が基本となります。ここでは、子どもの花粉症に対する代表的な治療方法を確認しましょう。

●花粉症の発症を抑える薬物療法

抗アレルギー剤を服用することで、アレルギー症状の発症を抑えることができます。服用開始から効果が現れるまで約2週間かかるため、花粉症シーズンを迎える少し前から治療を開始するとよいでしょう。


●花粉症の症状を和らげる薬物療法

抗ヒスタミン剤の内服薬や点眼薬、点鼻薬を症状に応じて使用することで、花粉症の症状を和らげることが可能です。抗ヒスタミン剤を使っても症状が軽減しない場合は、ステロイド剤を使用する場合もあります。


抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、ステロイド剤を子どもに使用する際には、年齢や体重を考慮した上で適切な量を適切な方法・回数で使用することが大切です。処方薬・市販薬ともに、眠気や口の渇きといった副作用が出る場合がありますが、用法用量を守って使用すれば体や生活に大きな影響は出ないでしょう。

また、根本的な体質改善を目指す治療として「舌下免疫療法」という方法もあります。舌下免疫療法とは、スギ花粉(アレルゲン)の成分を含む薬剤を舌下に1分程度置き、そのまま飲み込むという方法です。治療を受けた方の約8割が効果を実感していると言われており、完治に近い状態まで花粉症の症状を改善・緩和できるケースも少なくありません。

ただし、舌下免疫療法は数年かけて行う治療であり、途中で服薬をやめてしまうと治療がリセットされる可能性があることに注意が必要です。舌下免疫療法は5歳以上であれば取り組める治療法ではありますが、小さな子どもにとっては難易度が高い治療法であることを押さえておきましょう。

5.子どもの花粉症の予防方法

子どもの花粉症の症状を和らげるためには、大人と同様に「なるべく花粉を浴びないようにする」といった対策を行うことが大切です。下記のような対策を行い、花粉症の悪化を予防しましょう。

子どもの花粉症対策

  • 外出時はマスク・眼鏡を着用する
  • 帰宅時は手洗い・うがい・着替えを徹底する
  • 空気清浄機を活用する
  • 洗濯ものや布団などは外に干さないようにする
  • 花粉症シーズンには家の中をこまめに掃除する


子どもの花粉症を予防するには、子ども自身が対策に取り組むだけでなく、まわりの大人も一緒になって対策を行う必要があります。家族が一丸となって対策を行い、子どもの健康を守りましょう。

まとめ

子どもの花粉症は年々増加傾向にあり、鼻づまりや鼻のかゆみ、目のかゆみといった症状に悩まされる子どもも珍しくありません。花粉症による生活の質の低下や健康状態の悪化も懸念されるため、子どもの様子を十分に観察し、小児科や耳鼻咽喉科、眼科など適切な診療科を受診するようにしましょう。

子どもの花粉症は主に薬物療法が用いられますが、医師の指示や説明書などに従い用法用量を守ることが大切です。症状を悪化させないための対策も行い、家族全員で子どもの健康を守りましょう。

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