万が一の事態に備えて
保険適用外の費用を
カバーする方法
医療機関の領収書には、「保険適用外」「保険外診療」などの欄が存在します。公的医療保険適用外となる費用項目は複数存在するため、詳細を把握し、万が一の事態に備えることが大切です。
この記事では、公的医療保険が適用外となる費用や高額な自己負担に対する備えを準備する手段について解説します。「ケガや病気になった時、家族に負担をかけたくない」「公的医療保険に関する正しい知識を身に付けて、自分自身を守りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
- 目次
- 1.そもそも「公的医療保険」とは?
- 2.公的医療保険が適用外となる費用項目6つ
- 2-1.自由診療
- 2-2.先進医療
- 2-3.入院中の食事代・差額ベッド代
- 2-4.健康診断・予防接種・人間ドック
- 2-5.病気とみなされないもの
- 2-6.仕事・家事・育児ができないことによる出費
- 3.公的医療保険適用外の費用は「民間保険」「共済」でカバーしよう
- 3-1.【比較】保険と共済どちらがおすすめ?
- まとめ
1. そもそも「公的医療保険」とは?
公的医療保険とは、ケガや病気で医療機関を受診した際の費用の一部を負担してくれる保険です。公的医療保険に加入しているからこそ日本国民は限定的な自己負担により、必要な治療を受けられます。
日本は「国民皆保険制度」を採用する国であるため、すべての人が公的医療保険に加入しなければなりません。公的医療保険の主な種類は、被用者保険・地域保険の2種類です。被用者保険には健康保険・船員保険・共済保険、地域保険には国民健康保険が含まれます。
被用者保険 | 地域保険 | |||
---|---|---|---|---|
健康保険 | 船員保険 | 共済保険 | 国民健康保険 | |
主な加入者 | ・会社員 ・会社員の扶養家族 | ・船員 ・船員の扶養家族 | ・公務員 ・公務員の扶養家族 | ・被用者保険に加入していない人 |
医療費の 自己負担割合 | ・6歳未満(義務教育就学前):原則2割 ・6歳以上(義務教育就学後)70歳未満:原則3割 ・70歳以上:原則2割 |
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また、公的医療保険には1か月の医療費の自己負担が上限額を超える場合、請求によって払い戻しを受けられる「高額療養費制度」が存在します。高額療養費の上限額は年齢や所得に応じて異なるため、詳細は、公的医療保険制度の運営者に問い合わせましょう。
2. 公的医療保険が適用外となる費用項目6つ
医療機関を受診した際の費用の中には、公的医療保険の適用外となるものも存在します。すべての費用に対して公的医療保険を適用すると、社会保障費を圧迫することが理由です。
たとえば、下記のような費用項目は公的医療保険が適用外となるため、注意しましょう。
- 自由診療
- 先進医療
- 入院中の食事代・差額ベッド代
- 健康診断・予防接種・人間ドック
- 病気とみなされないもの
- 仕事・家事・育児ができないことによる出費
ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。
2-1. 自由診療
医療機関の「自由診療」にかかる費用は、公的医療保険の適用外です。例えば、下記のような内容は自由診療として扱われます。
- 国内で未承認の医薬品、医療技術を用いた治療
- 特定承認医療機関以外で受ける先進医療の治療 など
また、自由診療と保険診療(公的医療保険の適用される診療)の併用は、原則禁止されています。自由診療を受ける場合には公的医療保険の適用される診療も含めて、自己負担が必要である点に注意しましょう。
2-2. 先進医療
先進医療とは、特定の医療機関で実施されている最先端の医療技術のうち、厚生労働省の認定を受けたものを指します。先進医療にかかる費用はすべて、公的医療保険の適用外です。ただし、診察・検査・投薬など保険診療と共通する部分に対しては、公的医療保険が適用されます。
先進医療に認定されている医療技術の種類・内容は随時見直されるため、定期的な確認が必要です。また、先進医療から保険診療へ移行する医療技術・先進医療の認定が廃止される医療技術も存在する点には注意しましょう。
2-3. 入院中の食事代・差額ベッド代
公的医療保険の適用範囲は、病気やケガの治癒を目的とする治療に限定されます。入院中の食事代は原則全国一律で、一食あたり460円の自己負担が必要です。入院中の食事代の自己負担分は、公的医療保険の適用外として扱われます。入院中に4人以下の部屋・個室を希望した場合に発生する「差額ベッド代」も、公的医療保険の適用外です。
なお、大きな病気を患った際には細々とした出費として、入院前後の通院費・入院中の雑費や日用品代も発生します。入院リスクに備える際には医療費以外の出費も発生することを前提に、余裕を持った金額を用意しましょう。
2-4. 健康診断・予防接種・人間ドック
健康診断・予防接種・人間ドックなど病気の予防目的で医療機関を受診する際の費用は、公的医療保険の適用外です。ただし、加入している公的医療保険によっては、一定の補助を受けられるケースがあります。
たとえば、全国健康保険協会では年に1回、健康診断費用の一部補助を受けることが可能です。東京都の荒川区では、所定の条件を満たす国民健康保険加入者が人間ドックを受ける場合、最大8,000円の助成金を支給します。
(参考:全国健康保険協会 協会けんぽ「料金」)
(参考:大田区「特定健診の代わりに人間ドック*を受ける方へ ドック受診費用を最大8,000円助成します」)
なお、健康診断・人間ドックなどによって異常が見つかった場合の再検査費用は、公的医療保険の適用を受けることが可能です。結果を受けて治療を受ける場合の医療費にも、公的医療保険が適用されます。
2-5. 病気とみなされないもの
美容整形・レーシックなど病気とみなされないものの治療・手術も、公的医療保険の適用外です。美容整形・レーシック以外には下記のような内容が病気とはみなされず、公的医療保険の適用を受けられません。
- 自然分娩
- 生活に支障のないレベルのニキビ、ワキガ治療
- (経済的な事情による)人工妊娠中絶
また、日常生活の疲れなどに起因する肩こり、腰痛・年齢に起因する身体の痛みを整骨院で治療する場合の費用も、公的医療保険の適用外です。業務上の病気やケガには労災保険が適用されることから、公的医療保険の適用を受けられません。
2-6. 仕事・家事・育児ができないことによる出費
被用者保険では、病気やケガで連続3日以上仕事ができない場合、傷病手当金が支給されます。国民健康保険には傷病手当金が存在しないため、自営業者やフリーランスとして働く人は、仕事ができないことによる出費を自分自身でまかなわなければなりません。
専業主婦が病気にかかり、家事・育児ができない状態に到った場合の出費にしても同様です。家事代行や託児所の利用費用はすべて、自分自身で負担する必要があります。
3. 公的医療保険適用外の費用は「民間保険」「共済」でカバーしよう
公的医療保険適用外の費用の目安・入院によって失われる収入の平均値を把握することは、万が一のリスクに対する備えを準備するための第一歩です。下記表は、入院時の自己負担費用・逸失収入の平均値を示します。
入院時の自己負担費用 | 入院時の逸失収入 |
---|---|
20.8万円 | 32.0万円 |
(出典:公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」)
中には、入院時の自己負担費用や逸失収入が100万円以上に上る人も存在します。入院時の経済的な負担を和らげるためには民間保険や共済に加入し、公的医療保険適用外の費用をカバーすることが大切です。
3-1. 【比較】保険と共済どちらがおすすめ?
保険とは、保険会社が営利目的で運営する商品です。保険では、不特定多数の契約者が保険料を出し合い、被保険者の万が一の事態に備えます。一方の共済は、組合員が掛金を出し合って協同財産を準備し、万が一の事態に備えるための仕組みです。
保険と共済の違いをよりわかりやすく知るためにも、下記の表を参考にしてください。
保険 | 共済 | |
---|---|---|
加入者 | 不特定多数の人 | 原則、組合員とその家族 |
事業目的 | 営利 | 非営利 |
公的な セーフティーネット | 生命保険契約者保護機構 | なし |
特徴・メリット | ・(共済と比較して)商品の種類が豊富 ・高額な死亡保障や入院保障を付けることも可能 | ・(保険会社の保険料と比較して)掛金が割安 ・決算結果によっては、割戻金を受け取ることが可能 |
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共済は、限定的な掛金で万が一の事態に備えたい人におすすめの選択肢です。ただし、共済では保険ほど、充実した保障を確保できないケースが存在します。自分自身のライフスタイルや家族構成をふまえた上で必要な保障を見極め、保険・共済のいずれを選択するかを判断しましょう。
生活クラブでは組合員に対して、共済への加入や保障の見直しに関する無料の個人相談を提供します。共済への加入を検討する人はぜひ生活クラブ生協の組合員になり、個人相談を受けてください。
まとめ
SUMMARY
公的医療保険は医療費の負担を和らげるため、すべての人に加入が義務付けられている保険です。ただし、自由診療および先進医療にかかる費用・入院に伴う逸失収入などは公的医療保険のサポートを受けられないため、民間保険や共済でカバーする必要があります。
共済は、民間保険の保険料と比較して割安な掛金で公的医療保険適用外の費用に備えるための有効な手段です。共済への加入を検討している人はぜひ、生活クラブに相談ください。
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