からだの変化妊娠・出産・産後女性特有のライフイベント。
身体の変化を知っておこう。

昭和薬科大学 薬物治療学研究室 水谷 顕洋教授 監修

出産は、ママにも赤ちゃんにも大仕事。体の中は大きく変化し、傷つき疲れています。妊娠・出産・産後の体の変化にともなう不安や気づき、ゆっくり時間をかけながら、体は自然に出産前の状態に戻ろうと回復していきます。妊娠から産後の体の変化を知ってすこやかに過ごしましょう。

妊 娠

妊娠したら

    • 貧血になりやすくなる
    • 血が固まりやすくなる
    • 子宮の筋肉が緩み、大きくなる
    • シミ、色素の沈着が起こる
    • 腰痛になりやすくなる
    • 下半身がむくみやすくなる
    • 頻尿になり、尿のトラブルが増える
    • 乳房が大きくなる
    • 血糖値が上がりやすくなる
    • 便秘になりやすくなる
    • 胃がむかつきやすくなる
    • 息切れがしやすくなる
妊娠したら

妊娠中多い悩み

妊娠中は、血液はおなかの赤ちゃんに栄養と酸素を送りとどけるという大切な役割を担います。血中の鉄分は、血液の量が増えるため、血中濃度が薄くなります。また、赤ちゃんに優先的に送られるので、母体の血液中の鉄分が不足しやすく、貧血になりがちです。

アドバイス

鉄分の多い食材をとりましょう。それでも解決しない場合は、病院へ。

    • 豚レバー
    • 鶏レバー
    • 牛レバー
    • 牛もも肉
    • ハマグリ(佃煮)
    • シジミ(生)
    • カツオ(フレーク缶)
    • カツオ(なまり節)
    • ワカサギ
    • ニジマス
    • カキ
    • アサリ
    • マグロ
    • イワシ
    • 干しエビ
    • 大豆(乾燥)
    • 高野豆腐
    • がんもどき
    • 納豆
    • きな粉
    • ソフト豆腐
    • 湯葉(生)
    • ひじき
    • ほうれん草
    • 小松菜
    • 切り干し大根
    • いんげん豆(乾燥)
    • 枝豆
    • パセリ
妊娠中多い悩み

出 産

お産が近づくと、ママの体にはいろいろなサインが出てきます。
大切なサインがどんなものかを知って気持ちの準備をして、出産にのぞみましょう。

おしるしって?

お産が近づくと、子宮口が開いたり子宮が収縮したりすることで卵膜がはがれるため、少量の出血がみられます。それが、子宮頸管から出た粘液と混ざって出てきたものがおしるし。量や色は個人差がありますが、少し粘り気があるのが特徴です。

陣痛

陣痛とは、赤ちゃんを子宮の外に押し出すために、子宮が収縮するときの痛み。不規則な痛み(前駆陣痛)やお腹の張りが、やがて規則的な痛み(有効陣痛)に変わっていきます。

陣痛からお産までの時間

本格的な陣痛がきてからお産までの時間は、人によっていろいろです。初産の場合は、陣痛が10分間隔になってから12~13時間かかるのが平均的なようですが、なかには、2~3時間で生まれるケースもあります。

産後のからだ

産後のママの体は妊娠中と同じでとてもデリケート。「産後の肥立ち」や「産褥期」と呼ばれる出産後の8週間は、体が急激に元に戻ろうとしてホルモンバランスも大きく変わります。体だけでなく、精神面も不安定になりがち。無理をせず、なるべく周囲のサポートを受け、適切なケアをして赤ちゃんとのすこやかな毎日を過ごしましょう。

おこりやすいトラブル

    • 産褥熱(さんじょくねつ)
    • 悪露(おろ)
    • 会陰切開の傷
    • 関節痛腱鞘炎
    • 乳腺炎
    • むくみ
    • 目の疲れ
    • 抜け毛
    • 便秘・痔妊娠線・正中線
    • マタニティブルー
    • 産後うつ
    • 過食・体重増加

産後に多いマタニティブルー

産後うつともいわれていますが、妊娠・出産期はホルモンのバランスの急激な変化と、環境の変化によるストレスが生じやすいということがありますが、胎盤からの女性ホルモンのエストロゲンの急激な減少などが強くかかわっていると考えられています。

アドバイス

マタニティーブルーは、短期間で症状が現れて消えていきます。無理に前向きになろうとしなくて大丈夫です。つらい時は、信頼できる人に伝えられるといいですね。身近な人に話しにくい場合は、信頼できる専門家(助産婦・医師・カウンセラー・保健師など)に話してみましょう。