健康診断のミカタ健康診断の結果の見方がわかる
健康の味方。

昭和薬科大学 薬物治療学研究室 水谷 顕洋教授 監修

健康診断の結果を手にしても「そもそも見方がわからない」「この検査で何がわかるの?」ということはありませんか。健康診断結果表に記載された内容についての目安をまとめました。結果と照らしあわせて、確認してみましょう。

基準値について

正常値は健康な人をたくさん集めて得られた検査データの95%の人が含まれる範囲を正常値(正常範囲)と定義しています。このため健康な場合でも、正常値(正常範囲)をはずれる場合があります。
したがって、「正常値」という用語は誤解を招くため、「基準値(基準範囲)」と表記しています。最終的に異常値が病気によるものかどうかは、医師による総合的な判断が必要になります。また同じ検査項目でも、検査方法や単位により正常値・基準値が異なる場合があります。他の医療機関での検査結果と比較する場合は注意が必要です。

判定区分

検査項目に異常値が認められても、それぞれ単独で判定することはありません。すべての項目を総合的に医師が判断し、判定します。

A 異常なし 今回の健診結果範囲においては異常を認めませんでした。
B 軽度異常 わずかに基準範囲をはずれていますが、日常生活に差し支えありません。
また精密検査の必要もありません。
C 要経過観察

生活習慣を改善し、あるいは症状等変化がなければ、数字の月数が経過した時点で最寄りの医療機関で再検査をお受けいただくことをお勧めします。

(C12)要経過観察 年1回……年1回の健診で経過をみてください。
(C6)要経過観察6ヵ月後……6ヵ月後の再検査をお勧めします。
(C3)要経過観察3ヵ月後……3ヵ月後の再検査をお勧めします。

D 要精密検査 検査で異常がみられましたが、明らかな診断をつけるために、さらに詳しい検査及び診察が必要です。今後治療が必要となることがありますので、必ずお受けください。
E 要治療 ただちに専門の医療機関を受診し、医師による治療を受けてください。
F 治療中 現在、病院に通院して治療を受けている、あるいは具合の悪いとき病院・医院で診てもらっている疾病に関する項目です。結果の良し悪しにかかわらず、必ず主治医に見せて確認してもらってください。

注意事項
1.判定欄・結果欄の×××印***印は、未施行や検体不良などによる測定不能を表します。
2.検査結果欄の*印は基準範囲外を表します。

A 異常なし
今回の健診結果範囲においては異常を認めませんでした。
B 軽度異常
わずかに基準範囲をはずれていますが、日常生活に差し支えありません。
また精密検査の必要もありません。
C 要経過観察

生活習慣を改善し、あるいは症状等変化がなければ、数字の月数が経過した時点で最寄りの医療機関で再検査をお受けいただくことをお勧めします。

(C12)要経過観察 年1回……年1回の健診で経過をみてください。
(C6)要経過観察6ヵ月後……6ヵ月後の再検査をお勧めします。
(C3)要経過観察3ヵ月後……3ヵ月後の再検査をお勧めします。

D 要精密検査
検査で異常がみられましたが、明らかな診断をつけるために、さらに詳しい検査及び診察が必要です。今後治療が必要となることがありますので、必ずお受けください。
E 要治療
ただちに専門の医療機関を受診し、医師による治療を受けてください。
F 治療中
現在、病院に通院して治療を受けている、あるいは具合の悪いとき病院・医院で診てもらっている疾病に関する項目です。結果の良し悪しにかかわらず、必ず主治医に見せて確認してもらってください。

注意事項
1.判定欄・結果欄の×××印***印は、未施行や検体不良などによる測定不能を表します。
2.検査結果欄の*印は基準範囲外を表します。

身長・体重等計測

身長と体重を測定し、やせ過ぎ、太り過ぎを調べています。

検査項目 基準値 この検査でわかること
標準体重 -- (身長m)×(身長m)×22で算出されます。「22」はBMIの標準値です。
BMI 18.5~24.9 肥満度を表す指標で、(体重kg)÷(身長m)÷(身長m)で算出されます。
*BMIはBody Mass Indexの頭文字で国際的に使用されている指標です。
日本人はこの値が「22」のときに最も病気になりにくいといわれています。
肥満度 ±10%

(体重kgー標準体重kg)÷(標準体重kg)×100で算出されます。

やせ過ぎ やせ気味 正常 太り気味 太り過ぎ
-20% -10%~-20% ±10% +10~+20% +20%
やせ過ぎ -20%
やせ気味 -10%~-20%
正常 ±10%
太り気味 +10~+20%
太り過ぎ +20%
体脂肪 男17~23%
女20~27%
体重に占めるおおよその脂肪の割合を表します。
視力 -- 裸眼もしくは視力矯正(眼鏡・コンタクトレンズ使用)の測定値となります。
5mの距離の設定で測定した視力です。

ドクターズアドバイス太り気味の人へ

肥満は生活習慣病の温床といわれます。特に内臓に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満は循環器疾患の発症と深い関わりがあるので注意が必要です。太り過ぎの人は、食習慣の見直しと適度な運動により。まずはBMI25未満を目標に減量をしましょう。

  • 1日3食きちんと食べる

    1日3食
    きちんと食べる

  • よく噛んでゆっくり食べる

    よく噛んで
    ゆっくり食べる

  • 肉や油脂は控えめにする

    肉や油脂は
    控えめにする

  • 筋肉を鍛え基礎代謝量を維持する

    筋肉を鍛え
    基礎代謝量を
    維持する

  • 1日1万歩めざして歩く

    1日1万歩
    めざして歩く

  • ストレスは早めに解消する

    ストレスは
    早めに解消する

血 圧

検査項目 基準値 この検査でわかること
収縮期(最高) 129mmHg以下 心臓が血液を送り出すときに血管に加わる圧力を測ります。収縮期血圧は心臓が最も収縮したときの血圧で、拡張期血圧は心臓が最も拡がったときの血圧です。末梢の血管が収縮すると血圧は高くなり、血管が拡張すると低くなります。血圧は1日のなかでも変動しますので1~2回の測定だけで高血圧と決めるのは不適当です。間をおいて繰り返し測定してから判断する必要があります。また高血圧は動脈硬化を促進させるので注意が必要です。
拡張期(最低) 84mmHg以下

肝・脾臓機能

検査項目 基準値 この検査でわかること
ZTT 2.3~12.0U 慢性肝炎などを診断する検査です。ただし、体質的に数値の高い場合や、慢性の炎症(リューマチ・膠原病など)がある場合も高値を示しますので、他の検査との総合的な判断が必要です。
AST(GOT)
ALT(GPT)
30IU/l以下 体の蛋白質を構成するアミノ酸をつくるのに必要な酵素で、体のあらゆるところにありますが、特に肝臓に多く含まれます。また、ASTは心臓や筋肉にも多く含まれます。従って、AST・ALTともに高いときは肝臓の障害が疑われます。
LDH 120~245IU/l 肝臓に最も多く含まれ、筋肉・肺・血球などにもある酵素です。高値の場合、他の検査と照合し、異常を特定します。
γ-GTP 50IU/l以下 肝臓や胆道系に障害があると数値が高くなります。特にアルコールの飲みすぎや肥満により高値を示します。
ALP 104~338IU/l 肝臓や胆道系に障害があると数値が高くなります。また、骨の甲状腺の障害でも高値となる特徴があります。
総ビリルビン 0.3~1.2mg/dl 胆汁に含まれる色素です。高値だと胆石症・肝機能障害などが疑われます。
総蛋白 6.5~8.0g/dl 肝臓の作業能力・栄養状態のチェックができます。また腎臓病のときに減少することがあります。
アルブミン 4.0g/dl以上 蛋白の一種で、肝臓で合成されます。この値が低くなると肝硬変・腎臓病の可能性があります。
A/G比 1.30~2.00 血中の蛋白であるアルブミンとグロブリンの比率を表しています。肝臓障害、ネフローゼ症候群などで低下します。
コリンエステラーゼ 男245~495U/l
女198~452U/l
肝臓で合成される酵素で血清アルブミンと平行して働きます。肝硬変などの肝障害時に低下します。
アミラーゼ 39~134IU/l 主に膵臓から分泌される酵素です。膵臓に異常があると値が上昇したり、極端に低くなったりします。

肝炎ウイルス検査肝機能異常は様々な原因で起こりますが、血液などを介して感染する肝炎ウイルスの有無を調べます。

検査項目 基準値 この検査でわかること
HBs抗原 (ー) 陽性(+)の場合、現在B型肝炎ウイルスを保有していることが考えられます。さらに詳しい検査を行う必要があります。
HBs抗体 (ー) 陽性(+)の場合、過去にB型肝炎ウイルスにかかった可能性があることを表します。
C型肝炎
ウイルス検査
(ー) 陽性(+)の場合、現在C型肝炎ウイルスにかかっている可能性があることを表します。

脂 質

検査項目 基準値 この検査でわかること
総コレステ
ロール
140~199mg/dl コレステロールは細胞やホルモンをつくる大事な役目を果たしている脂肪の一種ですが、多くなり過ぎると動脈硬化を引き起こします。総コレステロールは血液中のコレステロールの総量を表します。
HDLコレステロール 40~119mg/dl 善玉コレステロールと呼ばれ、余分なコレステロールを運び出す働きがあり、動脈硬化を防ぎます。適度のアルコール摂取と有酸素運動により増加し、逆に喫煙、肥満により減少します。
LDLコレステロール 60~139mg/dl 悪玉コレステロールです。多くなり過ぎると、動脈硬化を促進させます。
中性脂肪 30~149mg/dl 本来なら身体のエネルギー源となりますが、血中で多くなり過ぎると、動脈硬化を進める可能性があります。太り過ぎや食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎ、運動不足によって高い数値が出ることがあります。

代謝系

検査項目 基準値 この検査でわかること
空腹時血糖 126mg/dl以下 糖尿病の有無を調べます。血糖とは血液中のブドウ糖のことで、細胞のエネルギー源となる大切な物質ですが、一定以上の高い血糖値が長期に渡って持続するのが糖尿病であり、血管に障害を及ぼし動脈硬化を助長し、腎臓や網膜、末梢神経に障害を与えたり心筋梗塞や脳梗塞の危険因子となったりします。血糖値は1日のうちでも変動しますが、HbA1は過去1~2ヵ月の血糖値の状態を調べることができます。
HbA1c 5.5%以下
(NGSP値)
尿糖 (ー) 尿中に糖が混ざっていないかを調べます。糖尿病などで血糖値が高くなると尿に大量の糖が混ざるようになります。
尿酸 2.1~7.0mg/dl ほとんどは尿中に排泄されますが、血液中の濃度が一定以上になった場合、通風となる事があります。

血液一般

検査項目 基準値 この検査でわかること
ヘマトクリット 男38.5~48.9%
女35.5~43.9%
貧血を見つける検査です。赤血球には細胞に酸素を運び、炭酸ガスを持ち去る「ガス交換」をする役割があり、赤血球中に含まれるヘモグロビンが主に働きます。ヘマトクリットは一定の血液量に対する赤血球の割合を表したものです。出血、赤血球をつくるのに必要なホルモンの不足、あるいは骨髄の働きが悪くなると赤血球数は減少します。また、原料である鉄が不足するとヘモグロビンが減少し、貧血となります。
ヘモグロビン 男13.1~16.6g/dl
女12.2~14.6g/dl
赤血球数 男400~539万/μl
女360~489万/μl
白血球数 32~85百/μl 白血球は体内のどこかに細菌による感染があると増加し、これを殺す働きをしています。また、白血球そのものの病気でも増加したり、極端に減少したりします。
血小板数 13.0~34.9万/μl 血小板は出血した際に止血に関わる血球成分です。数が減少すると出血がとまりにくくなったり、青アザができやすくなったりします。
MCV 男85~103fl
女81~102fl
赤血球1個の平均的容積量です。赤血球の大きさの指標となるものです。
MCH 男28~35pg
女26~34g
赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的に表したものです。
MCHC 男31~36%
女30~35%
赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比を表したものです。
血液像 Neutro:好中球48~61%
Lym:リンパ球25~45%
Mon:単球2~7%
Eos:好酸球1~6%
Bas:好塩基球0~1%
白血球は主に5種類に分類でき、これらの割合をみることで異常の有無を確認します。
Fe
(血清鉄)
男60~210μl/dl
女50~170μl/dl
血清鉄(血液中の鉄)を測定し、鉄欠乏性貧血かどうかを診断します。

ドクターズアドバイス貧血が疑われる人へ

女性の貧血のほとんどを占める「鉄欠乏性貧血」。その予防改善には、栄養バランスのとれた食事を基本として、鉄分やたんぱく質を十分補給することが大切です。思春期を過ぎて症状が出た場合は子宮筋腫などの婦人科系疾患、消化管出血なども考えられますので、医師の診察を受けましょう。

  • 鉄分の多い食品をしっかりとる

    鉄分の多い食品を
    しっかりとる〔鉄分の多い食品〕
    レバー、肉類、赤身魚、貝類、ひじき、大豆、小松菜など

  • インスタント食品、レトルト食品に頼りすぎない

    インスタント食品、
    レトルト食品に
    頼りすぎない

  • 朝食抜きの不規則な食生活をしない

    朝食抜きの不規則な
    食生活をしない

  • 無理なダイエットをしない

    無理なダイエットを
    しない

尿一般

検査項目 基準値 この検査でわかること
尿蛋白 (ー) 尿中に蛋白が含まれているかを調べます。陽性(+)の場合、腎臓の障害が疑われますが、発熱や疲労などで一時的に陽性になることもあります。
尿潜血 (ー) 尿中に血液が含まれているかをしらべます。尿中に血液が含まれていると、腎臓、尿管、膀胱、尿道などに何らかの異常がある可能性があります。
尿比重 1.004~1.030 尿中の成分や体内の水分量に影響を受けます。水分の取り方や発汗によっても値が変わります。尿崩症、腎機能不全などで低くなり、糖尿病、ネフローゼ症候群などで高くなります。
ウロビリノーゲン (±) ビリルビン(胆汁色素)が分解されてできるものです。健康な人でも一部尿中にでますが、肝臓や、胆嚢に異常があると、尿中に多く出てきます。
尿沈渣 (ー) 尿を遠心分離して、成分を顕微鏡で調べる検査です。腎疾患や膀胱疾患について診断します。

腎機能

検査項目 基準値 この検査でわかること
クレアチニン 男1.00mg/dl以下
女0.70mg/dl以下
体内で使用された蛋白質の老廃物の一種で、腎臓の機能が低下すると尿中への排泄が減少し、血液中に増加します。
BUN 8.0~20.0mg/dl
eGFR 60ml/min/1.73㎡以下 腎臓の老廃物を尿へろ過する能力を示します。低いほど腎臓の働きが悪いという事になります。

炎症性反応

検査項目 基準値 この検査でわかること
赤沈 60分値
男10㎜以下
女15㎜以下
血沈とも呼ばれる検査です。異常の場合、体内に炎症があることがまず疑われますが、様々な病気の可能性も挙げられます。
CPR 0.30mg/dl以下 体内の炎症や組織破壊のある病気が発生すると血液中で増加します。

大 腸

検査項目 基準値 この検査でわかること
便潜血反応検査 (ー) 消化管からの出血の有無を調べる検査で消化管に出血があれば、便潜血反応は陽性(+)になります。特に大腸がんの早期発見に威力を発揮します。(痔でも陽性になる場合があるので更なる精密検査が必要です。)

前立腺

検査項目 基準値 この検査でわかること
PSA 4.0ng/ml以下 前立腺肥大症や前立腺がんなど、前立腺の疾患を診断する腫瘍マーカーです。